■通好みのクリガニ
クリガニをご存知の方はよほどの蟹好きか青森県出身の方でしょう。
『クリガニなんて知らな~い』とおっしゃる方も実は一度や二度はクリガニを食べているはずです。
クリガニは毛蟹の仲間です。生きている時は色がちょっと濃い目ですが、加熱するとほとんど同じなので、低価格の毛蟹入りメニューは実はクリガニの場合がけっこう多いです。例えば、居酒屋チェーンの海産チゲとか、妙に安い毛蟹ラーメンなどは、クリガニを使っている可能性大とみて間違い無しです。
となると、クリガニが毛蟹の偽者で悪者みたいに聞こえてしまいますが、とんでもありません。クリガニは毛蟹と十分に張り合える味の持ち主です。
主産地の青森県陸奥湾では『桜ガニ』と呼ばれ、花見には欠かせないメニューです。水深5~10メートルのアマモ場に住んでいて、甲幅が10センチほどの小ぶりなカニですが、身も味噌も毛蟹も劣らぬうまさです。ただ、肉が少ない(つまり小ぶり)ので、市場価値が小さくてマイナーな存在になっているだけです。
※マイナーなので安くて楽しめるので、それはそれで良しですが・・
■活けを蒸し上げる旨さ
今回は陸奥湾の平内町の田中水産から活けのクリガニを取寄せました。
はるばる陸奥湾から届いた発泡スチロールの蓋をあけると、ぬれた新聞紙の下から、『ぶくぶく ぶつぶつ』と音がします。まだクリガニは元気です。早速、蒸し器を用意し、さっと洗ったクリガニの甲羅を下にして並べ、強火で蒸します。活けを調理することで、味に断然違いが出ます。
強火で約15分で蒸しあがります。蟹が小さい場合は短めになりますので、12分過ぎあたりから、お腹のところのハカマ(三角のところ)の先から蒸気が出ていないかチェックして下さい。クリガニの内部に火が通ると、カニの中の蒸気がハカマの先から出てきます。蒸しあがったら蒸し器の中で少し冷ましてから、お皿に盛ります。
クリガニは毛蟹よりもずっと安いので、1人2ハイは食べたいですね。今回は小さなものも混じっていたので6ハイで3000円でした。実はクリガニは毛蟹と違い、メスをとっても良いのです。よく思い出してみるとわかりますが、毛蟹の内子や外子(卵)を食べたことある方はいないはずです。それはメスが資源保護の為に禁漁だからです。クリガニはメスも獲ってよいので、運良ければ何匹か混じる場合があります。身が美味しければ味噌もうまいのが蟹の黄金法則ですから、クリガニの味噌や内子は最高です。
さて次は、日本酒と共に、クリガニの全てを平らげる>>