イタリアンの基本/イタリアンの基本関連情報

地中海海水と太陽の恵みだけで作る天然塩 こだわりたいシチリアの塩

イタリアン極めるなら塩はシチリアの塩。甘味とコクがあるのは、天然の旨味を充分に利用した製法だから。2000年に渡り製塩方法が受けつがえれています。

沈 唱瑛

執筆者:沈 唱瑛

イタリアンの基本ガイド

イタリア食材でもっと美味しいイタリアン

塩のこだわり
Sale Siciliano

最近、多くのイタリアレストランがこだわって塩もイタリア産を使うようになりました。もちろん、ダントツに人気があるのは、地中海の恵みを凝縮した海塩です。
イタリアの航空会社アリタリアで食べる機内食ですが、こちらについてくるお塩にも、きちんと「Sale Marino」(海塩)と書いてある程、イタリアは塩についてきちんと使い分けをしています。

またリストランテでも、何が良いという訳ではありませんが海塩を使います。なぜなら、海のミネラル分が凝縮されていて、しょっぱいというのではなく、ほんのり甘味があるから、料理の旨味を充分にひきだせるとか。イタリアですとシチリアの塩を選ばれる方が多いそうです。
実際に、私の友人のイタリア人達はシチリアの塩を好んで使用しています。

シチリアで塩となると、「トラパニの海戦」で有名なトラーパニのモティア島が挙げられます。シチリア島の西端の果てに位置するトラーパニの海岸線は、真っ青な海と陸に段差がないように、一歩踏み外すと海に足をとられてしまうかのような所です。しかし風は強かったのですが、不思議に波は立たな、穏やかな海でした。私はシチリア人に車で連れて行ってもらったのですが、今でもトラパニの海岸を包む鼻に残る香しい塩の香りを思い出せます。
ここトラーパニは、古代フェニキア人が伝えたという製塩法が引き継がれている塩田(salineサリーネ)で有名な地区です。地中海の濃い海水を日干しにして、水分のみを天火干しで蒸発させて、塩を作り出します。海と陸との段差をつけず、潮の満ち引きを利用して作ります(写真)。

まずはじめに海水を囲い込みます。方法は、それ以上は海水が入り込まないようにレンガで囲いをつけ、シチリアの燃えるような太陽の下、乾燥させていくのです。できた塩は山積みにされ、飛ばされないように、レンガでフタをします。できたての塩は大変粒が大きいので、テーブル用には向きません。
かつてはこの大きい粒の潮を風車を使った石臼で挽いて使用していました。こちらの風車はモティア島にいまでもあります。

トラーパニの塩は、海水と太陽だけで作られる天然塩ですから、ミネラル分が豊富ですので、多くのイタリア人、ならびに世界中から愛されています。

塩は、大きい粒のグロッソ(grosso:写真左)と通常の塩のフィーネ(fine:写真右)の二種類あります。グロッソは、現在ではほとんどが機械によって精製されているのですが、古くは風車の石臼によって、ゆっくり挽かれて小さい粒(fineフィーネ)となっていきました。

最近では、日本のスーパーマーケットにもグロッソとフィーネの二つが見られるようになりましたので、表記に気をつけてお買い求め下さい。
こだわって塩を、使い分けをしたいならば、パスタを茹でる時に、グロッソを大胆に入れます。そして、微妙な味付けの時はフィーネをお勧めします。また、ビステッカ(Tボーンステーキ)のような肉料理には、フィーネよりもグロッソの方が、じわじわと塩が肉にしみ込んでいくのでオススメだとか。
イタリアの家庭、ならびにレストランでは、この使い分けをしているところが多々あります。

もちろん塩はシチリアだけではありません。サルデニャ島の塩も有名です。いずれにせよ地中海の恵みが豊富な海塩です。
ちなみに我家の塩もシチリアの海塩です。

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