スローフードってどういう食べ物? という質問を良く受けます。「スローフード」これは食べ物でしょうか? スーパーマーケットでも売られていません。さて一体なんでしょうか。
カゴメのテレビCMアンナマンマのコピーに「スローフードに帰ろう」というキャッチフレーズがあります。「スローフード」という言葉を耳にしたことがある人は、こちらのCMの影響もあり、きっと少なくないと思います。 そもそも日本でこの言葉がよく聞かれるようになったのは、の島村奈津さんの著書『スローフードな生活』の影響ではないでしょうか。数多くの人がこの本に目を通し、その生活感に感銘を受けたと思います。
「スローフード」とは、イタリアのブラ(BRA)という町スタートした非営利運動で、その創立は、今から10年前に遡ります。『スローフード宣言』を発表し、現在では、世界中に広まり70,000人以上の会員を持つまでになっています。具体的な活動についての下記の3つの指針があります。
1. 消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
2. 質のよい素材を提供する小生産者を守る。
3. 子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。
日本スローフード協会の資料によりますと、スローフード協会 会長 カルロ・ペトリーニ(Carlo Petrini)氏は『スローフード宣言』のなかで「私たちはスピードに束縛され、習慣を狂わされ、家庭のプライバシーにまで進入し、ファースト・フードを食べることを強制されるファースト・ライフというウィルスに感染しています。そこで、ホモ・サピエンスは聡明さを取り戻し、我々を滅亡の危機へと追いやるスピードから、自らを解放せねばなりません」 といっています。日本でも郷土食や地方の特色ある野菜などの食材や日本酒を改めて見直そうという動きが各地で起っており、期せずして地球上の様々な人や地域で食文化に対して、同じような動きが起きつつあるということは何か時代の必然性を感じられずにはいられないという。つまりこの動きがスローフードです。そして正式に言うなればスローフード運動なのです。
先日、イタリア食文化研究家 馬場裕先生による「国際スローフード運動」の講演会があり、その演目に惹かれ参加しました。 馬場先生はスローフード運動とは、暮らしの美学の創造、伝統的食文化の擁護、食文化発展の推進、良質な食べ物の推進、食に関する国際的規模の人的交流をめざすということを目標とする非営利団体の活動の総称であると説明されました。
この「スローフード」という言葉ですが、日本ではまだまだ多くの誤解があります。それはフーズ(foods)という言葉が「食材」を指すという誤認です。こちらはどちらかというと、食事を中心としたライフスタイルの提案というもので、決して“食べられるもの”ではありません。