2001年ガンベロ・ロッソ(Gambero Rosso)の最優秀カンティーナはピエモンテ州のラ・スピネッタ社(La Spinetta)に決定しました。ラ・スピネッタ社からは「サイ」のイラストがエチケッタにある人気のバルバレスコ・ヴィッラ・ガッリーナ'97(Barbaresco villa Garrina)をはじめ、5アイテムのワインが優秀ワインを表するトレ・ビッキエリ(Tre Bicchieri)に選ばれました。
今年最優秀賞に選ばれたラ・スピネッタ社は、ジョルジョ・リヴェッティの元、最近ピエモンテ地方で台頭してきている若き醸造家達のなかでも、リーダー的な役割をはたしています。初期の頃は最高級のモスカート・ダスティの作り手として有名でしたが、近年は1985年頃より力を注いできた赤ワインが次々と発表され、名だたる賞をさらっています。『Vini d'Italia'98』によると「ラ・スピネッタ社のバルバレスコは、とりわけネイヴェの村のバルバレスコのクリュの中でも、最も由緒があり、独特の土壌とミクロクリマ(注1)の影響で、ワインに熟成とともに深まるやわらかな個性がうまれている」 と語っています。
しかしピエモンテ州のカンティーナといえば、忘れてならないのがアンジェロ・ガヤ(Angelo Gaja)です。おそらくガヤがいなければバルバレスコが注目されることはなかったでしょう。そもそもバルバレスコは「未開人の」とか「荒々しい」とかの意味があり、野性味溢れるワインとして、イタリアでも認知されてきました。イタリアワインの王様であるピエモンテ州出身のバローロと同じ、ネッビオーロ種の葡萄を使用したとしても、バローロの弟分としてか、バローロのセカンドクラスというイメージしかありませんでした。そのピエモンテを代表する香しきワインの誇りは「バローロ」であるというイメージを覆し、イタリアのローカルなワインを世界のひのき舞台である、誰もが注目する「ワイン・スペクテイター」にて、シンデレラデビューさせたのがガヤなのです。もちろんこの評価会にはフレンチのグランクリュであるラトゥール、マルゴーをはじめとするワインも出展されましたが、それを押し退けてなんと、バルバレスコが最優秀ワインに選ばれたです。ここから、世界のバルバレスコにたいする見方は一辺倒に変わったのです。
従来、イタリアワインは荒々しく、どこか土臭いイメージが強かったのですが、葡萄品種はどこにも属さないものが多いので、種類は豊富です。ピエモンテ州でもバローロやバルバレスコの他に多くの良質のワインがあります。そちらについては、追ってレポートしていきますが、今後も目の離せない地域であることは間違いないでしょう。 ちなみに、ガイヤのバルバレスコ97年もトレ・ビッキエーリを獲得しています。
(注1:ミクロ・クリマ=微気候)