今から数年前、福島の民家の蔵から古い「蕎麦の実」が見つかりました。天保の大飢饉<日本史上三大飢饉は、亨保の大飢饉1732、天明の大飢饉1783 天保の大飢饉1832で、特に天保のものは冷害・大洪水などの天候不順がきっかけだった>の頃に貯えられたと推定されるその実はあらゆる手をつくしても発芽せず、160数年の眠りから覚めることなど無理だと思われました。そしていちるの望みを託して一握りの蕎麦の実が山形蕎麦職人の元に届けられたのです。その日から蕎麦職人達の夢への挑戦が始まりました。
<蕎麦には水は要らないを持論として>灰、炭、よう土を混ぜた床の中に蕎麦の実はひと粒づつ丁寧に植えられ、手厚い保護のもと奇蹟の発芽!80日目には遂に二世を収穫するまでに至ったのです。さ、これからが勝負!収穫した実を育てる為に、まずは場所選びです。調査を重ね、選び出されたのが日本海に浮かぶ「飛島」。天保蕎麦の純粋性を保つためには蕎麦が自生してない土地というのが絶対条件なのでした。海が荒れたら行くにも行けず、帰るに帰れぬ場所に彼等は通い続け二世を植えつけました。芽を出し葉を付け花が咲き、これで秋には食べられると喜んだのも束の間、アリと油虫により全滅、、ガックリ...と、なんと!取り分けてプランターに植えてた分が生きていたのです。こうして、プランター生まれの三世は、今年の収穫へと夢を繋いだのであります。
そんな職人達の挑戦を聞き付けた農水省生物資源研究所の研究員の手によって成分の分析やDNAの鑑定もなされました。
遥か天保の蕎麦の実は大勢の蕎麦を愛する者達に見守られ、みごとここ山形で花を開き蘇ろうとしています。 今年、もしもこの天保蕎麦を食するチャンスに恵まれたなら、全国蕎麦喰い達の羨望の的になること必至でしょう。
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※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。