ニセチズガメの基本情報
ニセチズガメの基本情報と飼育方法
学 名:Graptemys pseudogeographica pseudogeographica 別 名:ハイイロチズガメ、グレーマップタートル英 名:False Map Turtle
分 布:アメリカ合衆国北東部(オハイオ州からインディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ケンタッキー州、ミネソタ州、ミズーリ州、テネシー州)甲 長:オス15cm メス27cmm
日本で、もっとも多く流通するチズガメである「ハイイロチズガメ」または「グレーマップタートル」の一種です。
国内で、ミドリガメと並んで一般の方にも向けて安価かつ大量に流通するアメリカの水生ガメはコモンクーター(コンキンナヌマガメ)やアカハラガメ、セスジニシキガメがありますが、ハイイロチズガメまたはグレーマップタートルの名前で流通するカメがいます。ハイイロチズガメという名前のカメは存在せず、これは本亜種またはミシシッピチズガメ、オウアチタチズガメのいずれか、あるいはこれらの交雑種であることがほとんどです。特に、本亜種はその中心であると考えていいでしょう。
背甲はオリーブ色から褐色で、チズガメ特有の細かくて複雑な等高線状の斑紋があります。幼体では背中線のキールが発達して突出しますが、成体では目立たなくなります。また後縁は鋸歯状になります。
頭部にも複雑な明色のラインが細かく入りますが、目の後ろに大きな明色の斑紋があり、この形で他種や他亜種との区別できるようです。しかし、特にミシシッピチズガメとは、本亜種の目が褐色がかっているという点で見分けるのが容易であるようです。
腹甲は黄色からクリーム色で、シームに沿って暗色の斑紋が見られるのが一般的です。
一般的に流水を好む種が多いチズガメの仲間の中では例外的に、本亜種は止水環境にも適応し湖や池沼、湿地などでも見られるようです。食性は雑食ですが、他のチズガメ同様に動物食性が強い傾向が見られます。
生後、4-6年でオスは背甲長が7.5-10cmで、メスは8年ほどで背甲長が18-19cmになると性成熟に達し繁殖を行います。5-7月に産卵を行い、32.3-41.0×17.9×26.2mmの大きさの卵を8-22(平均14)個産み落とします。卵は25-30℃で52-85日で孵化します。孵化直後の幼体の背甲長は25-37mm程度です。
先述したように、本亜種は「ハイイロチズガメ」の名前で流通し、国内で安価かつ大量に流通しているカメの一つです。アメリカ国内で大量に繁殖されていて、それがこのような流通を可能にしていますが、亜種間雑種も多く見られ、純粋なニセチズガメと言えるような個体は多くはないようです。ちなみに上の写真も、専門店ではなく総合ペットショップの片隅でひっそりと販売されていた個体ですので、雑種の可能性が高い個体です。
幸か不幸か、ミドリガメやリバークーターあたりと比較して派手さに欠け、さらに幼体時の飼育がやや難しいためか、決して人気は高くはないと言えます。
CITES 附属書III掲載種
ミシシッピアカミミガメと同様に特定外来生物法で「要注意外来生物」として指定されています。
赤っ恥をかかない程度の知識
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ニセチズガメの飼育方法
飼育容器大きさによって60~120cmクラスの水槽や衣装ケースなど。
温度
25℃を下回らない程度に保温。夜間は20~21℃。ホットスポットは30℃
照明
紫外線入りのバスキングランプが必要
ろ過
できれば、外部式フィルターと上部フィルター
床材(底砂)
特に必要なし
容器内レイアウト
幼体時は背甲の高さの2倍以内の水深、成体時は20~30cm程度の水深の水場と完全に乾燥した陸地
餌
配合飼料でも良いが、餌付かない場合は貝類や甲殻類を与えると良い
基本的な世話
いわゆる水生ガメの飼育法
※「飼育の基本情報」は「ミズガメ大百科(マリン企画)」「爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1(誠文堂新光社)」および海外サイトを参考にしました。
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