今後の見通し
別に煽るわけじゃないんですが、今後はヨウスコウワニの流通は見込めるのか、と考えた場合に決して楽観的にはなれません。そもそも需要が多いわけではありませんし、単価も非常に高いわけですからそれほどの苦労をして輸入しても、販売するメリットは販売する側にとって大きいとは言い難いでしょう。
また、偶然かもしれませんが、中国の繁殖場ではそろそろインブリーディング(近親交配)の悪影響が出ている可能性もあるかもしれないというのです。例えば、孵化する幼体に手足や尾が欠損していたりする個体の割合が多くなってきているかもしれないというのです。
もともと野生採集個体に期待できる種類ではありませんから、これがインブリーディングが原因だとすれば、飼育や鑑賞に適した個体の輸入にはまだまだ時間がかかることになるでしょう。
今回輸入された20頭という数が、国内の需要に対して多いか少ないかはわかりませんが、今後またすぐに輸入されるこということは考えにくいと思います。
今回のワニたち
そんなさまざまな思惑を、もちろん知る由もなく日本にやってきた20頭のヨウスコウワニは、やはり私たちの期待を裏切ることなく、期待通りの魅力を持っていました。繁殖施設で繁殖したベビーたち |
画像提供:マニアックレプタイルズ |
とにかく中国の養殖場で、厳選された個体たちで全長は30-40cmほどということですから、孵化直後のベビーというわけにはいきませんが、まだまだ明色部分のコントラストは鮮やかですし、ある意味小さすぎないため存在感がある大きさともいえるワニたちです。
もちろん、中古の自動車が買えるくらいの価格ですし、購入の前に飼育設備を整えて、危険動物の飼育許可を得なくてはいけませんから、購入すること自体にもかなりのハードルがあります。
しかし、それでもほとんどの個体は売れてしまって、2月23日現在ですでにほとんどが売約済みになっているようです。やはり長い間待っていたファンの方が多かったんでしょう。
まだ数頭はまだ販売されているようですから、本気で「ワニを家で飼いたい」という方は問い合わせてみてはいかがでしょう?
飼育するには
もちろん相手はCITES I であり、動物愛護法で危険動物として指定されていますので、お金さえあれば飼育できる動物ではありません。CITES I に掲載されているということは国内では、いわゆる「種の保存法」に則した形で飼育の許可を得なくてはいけません。
詳しくは、以前に書いた記事
種の保存法施行令改正 ヒラオとロゼッタの登録をに詳しく書いてあります。
要するに、その個体に添付してある「登録票」と一緒に所有者の変更手続きをしなくてはいけません。
また危険動物の飼育に関しては「動物愛護法」に従って、飼育の許可を得なくてはいけません。
これも詳しくは、以前に書いた記事
危険動物飼育許可(前編)
危険動物飼育許可(後編)
で、それこそヨウスコウワニのための許可の流れを詳しくご紹介しました。
参考なさってください。
なんだかんだ言っても、相手はワニです。
いい加減な気持ちや中途半端な心構えで飼うことはできません。しかし、それほどの苦労と経済的な出費をする以上の飼育の楽しみや喜びを与えてくれる生き物であることに間違いはありません。
さあ!あなたも、私と一緒にヨウスコウワニとの生活を楽しんでみませんか?
きっと一緒の思い出に残る時間を過ごせますよ!
<関連サイト>
マニアックレプタイルズ
aLive
<関連ガイド記事>
ワニの魅力・前編 from All About両爬サイト
ワニの魅力・後編 from All About両爬サイト
危険動物飼育許可・前編 from All About両爬サイト
危険動物飼育許可・後編 from All About両爬サイト