ノギハラバシリスクの基本情報
写真提供:オーナーズフィッシュ
学 名:Basiliscus vittatus別 名:ブラウンバシリスク(B. basiliscus と混同)英 名:Striped Basilisk, Brown Basilisk, Common Basilisk 分 布:中米(メキシコ南部からコロンビア北部)とフロリダ州(帰化)全 長:60-70cm
イグアナ科の人気グループであるバシリスクの中でもっともポピュラーな種類です。
バシリスクと呼ばれるのはイグアナ科のバシリスクBasiliscus 属の以下の4種です。
- Basiliscus basiliscus ブラウンバシリスク
- B. galeritus ズアカバシリスク、ギザギザバシリスク
- B. plumifrons グリーンバシリスク
- B. vittatus ノギハラバシリスク
バシリスク属は中南米に分布する中-大型のイグアナ科のトカゲです。どの種も樹上性が強く、オスは頭部に冠状の突起を持ち背中線にヒダ状の突起を持ちます。
「バシリスク」は神話やゲームでおなじみの空想上の生物の名前「バジリスク」が由来になっています。バジリスクは古代ローマから中世までその存在が信じられていたヘビの怪物で、小型ながら人を殺す強力な毒を持ち、睨まれただけでも命を落とすほどの危険な動物と言われていました。
「バジリスク」は頭に冠のような斑紋があったため、新大陸である中南米で発見された本属のトカゲたちは、まさに伝説上のバジリスクになぞらえられたのでしょう。もちろん、単なるトカゲである本属のバシリスクたちには睨むだけで人を殺すどころか、毒さえも持っていないトカゲたちです。
またバシリスクと言えば「水面を走ることができる」ことが有名で「忍者トカゲ」などと紹介されることがあります。実際に、驚いて逃げるときには後肢だけで水面を走っていくことができます。
本種はバシリスク属の中でも小さく、流通量も多い種類です。体色は基本的に褐色ですが、成体では目の後ろから体側にかけて白色から黄色のストライプが入ります。また同じ色で口唇も縁取られています。背中線のヒダ状の突起は発達しませんが、オスの頭頂部の突起(クレスト)は属中でもっとも発達し大きいのが特徴です。和名の「ノギ」は米や麦の籾殻の棘のことで、本種の腹部にある棘状の突起をそれになぞらえています。
森林性ですが、乾燥林にも生息しています。ただし、近くに水場がある環境に多く、水環境に依存しています。ほぼ完全に樹上性ですが、地表で日光浴などをしていることも多いようです。非常に臆病な性格で、危険を感じると素早く走って逃げて木の上などに逃げていきます。
基本的に昆虫食ですが、落下した果実などを食うことも多いと言われています。
体長10cm程度になると繁殖が可能になり、5-8月に水場の近くの土手などに穴を掘って卵を産みます。卵は3-12個程度で、55-65日程度で孵化します。
非常に、カッコイイトカゲですが、幼体は単なる地味なキノボリトカゲなのでイマイチ注目されません。
幼体の頃から飼育すれば、比較的落ち着きがあるトカゲになり、もっとも心配されるケージ内で暴れてけがをするということもないようです。
安価でもあり、扱いきれないほど大きくなるわけでもないため、意外にもペットリザードに向いていると言えるようです。
赤っ恥をかかない程度の知識
- もっとも多く流通するバシリスク
- ノギハラは腹部の棘状突起に由来
- 頭部のクレストは属中でも大きく、明色のストライプも美しい
- 飼育自体はそれほど難しくない
- 本当に水の上を走ることは可能
ノギハラバシリスクの飼育方法
飼育容器最低でも成体は90cm程度のケージが必要。ガラス温室もいい。暴れる個体は衝突事故を避けるために、できるだけ側面が木製である方が良い
温度
夜間は最低25℃、日中は最高35℃程度に保温。ホットスポットは40℃前後
照明
紫外線灯とバスキングランプが必要
床材
比較的湿度が保てる、ヤシ殻土など
容器内レイアウト
全身が入る大きさの水容器と太めの止まり木が必要。大きめのガラス水槽の上に木製のケージなどを設置して、水槽には完全に水を張ってしまうなどもいい
餌
昆虫食だがマウスなども食う。ときどき果実も与えると良い
基本的な世話
- 基本的には多湿系樹上性トカゲの飼育法
- ホットスポットの下にずっといるとクレストが焼けてしまうことがある
- 空気を乾燥させないようにする
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