タコスライダー [爬虫類・両生類] All About

タコスライダー

学　名：Trachemys decussata angusta別　名：（種として）キタアンティルスライダー、ウェストスライダー英　名：Taco River Slider分　布：キューバ西部、ケイマン諸島甲　長：最大39cm

キューバに生息する、ほとんど流通しない非常に珍しい水生ガメです。

本亜種はキューバに生息するNorth Antillean SliderまたはWest Indian Slider（和名はないが「キタアンティルスライダー」「ウェストスライダー」等がある）と呼ばれるTrachemys decussata の亜種です。T. decussata はキューバに生息する唯一の淡水性ガメで、ミドリガメ（ミシシッピアカミミガメ）と同じアカミミガメ属の一種です。2亜種に分けられ、本亜種と、基亜種であるキューバスライダーT. d. decussata が知られています。

他のスライダーたちと同様に、幼体時は緑色をしていて、甲板に黄色いリング状の斑紋があります。しかし本種は全体的に灰褐色がかっていて、明色の斑紋も不鮮明で、甲板のリングも不完全です。これらの斑紋も、成長につれて薄くなり、成体ではほとんど無斑で灰褐色からオリーブ色のやや地味なカメになります。

また頭部は大きく、いわゆる「アカミミ」の部分は黄色からクリーム色の太い斑紋ですが、これも成長と共に失われていくことがあります。また本種は、成長するとメラニズム（黒化）を起こす個体が多く、そのような個体は別種のように見えます。

キューバでは、継続的に水がある場所なら、それほど環境を問わず普通に生息するようですが、主に低地の底がやわらかい場所で水草が繁茂している場所に多いようです。そのような場所ならば、比較的個体数も多いそうです。日光浴を好みますが、乾季に水が枯れる場所では近くの森林などで夏眠をします。

飼育下の記録では、4月半ばから5月半ばにかけて1－2回産卵を行った記録があります。1回の産卵で7－9卵を産み29.5℃で59－61日で孵化に至ったそうです。孵化した幼体は甲長が32.2－34.3mmということです。

流通量が非常に少ない、と言うこと以外は、確かによく言えば渋い、悪く言えば地味なカメで、ミドリガメの最大のウリである鮮やかな色彩や模様がない、と言うことですからコアなファンにしか顧みられることがないようなカメと言えます。

しかし成体の持つ幽玄的な雰囲気も捨てたものではありませんし、ソリッドな感じの質感は他のヌマガメの仲間にはない落ち着きを持っているように見えるのは褒めすぎでしょうか。

とにかく「流通しない」という理由だけで、魅力を持っていると言っても良いのがこの世界の常ですし、その理由だけが魅力である、というのもちょっともったいないカメであるような気もします。

と、最近、自分の知らなかった種類に関して調べることで、俄然興味を持ってしまうという、イケナイ快感を覚えてしまった私です。

ちなみに検索エンジンで「タコスライダー」をかけると、「タコの滑り台」が多くヒットします。


写真提供：aLive

赤っ恥をかかない程度の知識

キューバとその周辺に生息するミドリガメの仲間
地味と言えば地味
幼体時の斑紋は薄く、それもすぐに不明瞭になる
ほとんど流通しない
丈夫で飼育自体は楽
生息地での個体数も少なくはないらしい
生息地では食用にされているらしい

幼体画像をクリックすると拡大画像と詳細が表示されます飼育の基本情報飼育容器大きさによって60～120cmクラスの水槽や衣装ケースなど。温度25℃を下回らない程度に保温。夜間は20～21℃。ホットスポットは30℃照明紫外線入りのバスキングランプが必要ろ過できれば、外部式フィルターと上部フィルター床材（底砂）特に必要なし容器内レイアウト幼体時は背甲の高さの2倍以内の水深、成体時は20～30cm程度の水深の水場と完全に乾燥した陸地餌配合飼料で良い基本的な世話いわゆる水生ガメの飼育法であるが、特に

比較的丈夫で飼育しやすい

やや低温に弱いかもしれない

など※「分類」「飼育の基本情報」は「クリーパーNo.36・37・38」「爬虫・両生類ビジュアルガイド水棲ガメ１（誠文堂新光社）」および海外サイトを参考にしました。

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