対立遺伝子
さ、前置きが長くなったが、実は今回の授業のメインはこちら。前の時間にやったように、遺伝子のありかである染色体は必ず同じ形をしたものが対になっている。人間の場合は2n=46だったな。これを相同染色体と言ったよな。
この相同染色体同士は、もちろん同じ形をしているので、それぞれが同じ場所に、ある形質を表現するための遺伝子が存在していることになる。例えば、下の略図のように左側の上から少し下がった場所に「赤色を表現する遺伝子がある」としよう。いちいち長く書くと面倒なので、この「赤色を表現する遺伝子」を「R」としよう。単にレッドのRね。
遺伝子が染色体の上にある |
とすると、相同染色体である右側の染色体の同じ場所にも「R」があるわけだ。
相同染色体の同じ場所に同じ遺伝子がある |
ところが、これには「赤色を表現できない」という対立形質がある。じゃ、この場合は「R」を持っていないのかというと、違う。
実は、対立形質を表現する遺伝子というのがある。つまりある形質の遺伝子に対しては、その形質の対立形質を表現する対立遺伝子と呼ばれる遺伝子が存在するんだ。
つまり「赤色を表現する遺伝子」と「赤色を表現できない遺伝子」が対立遺伝子の関係ということになる。
遺伝の勉強では、ある遺伝子をアルファベットの大文字で表した時、対立遺伝子は小文字で表すのが普通です。だから「R」に対して「赤色を表現できない遺伝子」は「r」ってね。
ホモとヘテロ
さ、さっきの図に戻ろう。相同染色体上には、それぞれ赤色に関係した遺伝子がある場所があるんだから、赤色に関係した遺伝子を必ず1対2つを持っていることになる。で、その遺伝子には「R」と「r」があるんだよな。そうなると、その組み合わせは何種類になる?出席番号24番!
「左右両方にRがある場合、左右両方がrの場合、それと右がRで左がr、左がRで右がrの場合の4通り!」
うーん、惜しい!!それは「順列」だな。実際の細胞内では左右の相同染色体と場所が固定されているわけではないので「組み合わせ」だけでいい。ということは?
「左右両方にR、左右両方にr。どちらかがRでもう片方がrの3通りの組み合わせですか?」
そう!よくできました!
両方ともRの場合を「RR」、両方ともrの場合を「rr」、別々の組み合わせの場合を「Rr」と表すとわかりやすいだろ。で、この表し方を「遺伝子型」という。
このように、生き物というのは基本的に、一つの遺伝形質に関係する遺伝子を二つ組のセットで持っているんだ。この時「RR」と「rr」のように「同じ遺伝子を二つ持っている」場合を、その「遺伝子型」が「ホモ接合体」である、と言います。普通は「ホモ」と簡略化します。
あ、そこ笑わないように。
ホモ接合体 |
「ホモ」と言うのはギリシャ語系の言語では「同じ」という意味を持つ言葉なんだ。「同じ遺伝子を持つ」から「ホモ」と。
一方、「Rr」の遺伝子型の場合を「ヘテロ接合体」、略して「ヘテロ」と言います。
ヘテロ接合体 |
よく両爬の話をする時に「これはノーマルだけどヘテロだから、ちょっと高いんです」とか「66%ポッシブルヘテロ」などと言うのを聞いたことがあると思うけど、このことなんだね。
つまり前者は「ノーマル体色だが、遺伝子型が(例えば)Rrだ」という意味で、後者は「66%の確率で遺伝子型がヘテロかもしれない」というような感じ。なんで「高い」とか、「確率が出てくるのか」の話は、また今度。
じゃ、簡単すぎるだろうけど練習行ってみようか。
問1. 遺伝子Wをホモで持つ
問2. 遺伝子Wとwをヘテロで持つ
遺伝子wをホモで持つ
答えはコチラお、もうこんな時間になってしまったか。
実は、ここからが本番で、一体ホモとかヘテロが、表現型にどんな影響を持っているのか、という核心に触れる話をしなくちゃいけないんだが、時間が来たのでこの辺で勘弁してやろう。
というわけで、今日覚えて帰って欲しいことは「ホモ」って何?「ヘテロ」って何?ってことだ。
ちょっと箇条書きでまとめておこう
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キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン....
おっと宿題を出すのを忘れてしまうところだったな。
「先生、もうチャイム鳴ってますけど...」
うるさい。宿題を出さない理由などどこにもない。
宿題:以下の遺伝子型を記号で記せ。
問1. 赤色を表現する遺伝子をE、対立遺伝子をeとした時のヘテロ
問2. 黄色を表現する遺伝子をXとxとした時のホモの組み合わせすべて
もちろん提出期限は次の記事のアップまで!!
コレで終わります!!
「起立。気をつけー。礼!」
「ありがとうございましたー」
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