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ムツイタガメの基本情報と飼育方法……椎甲板が特徴的⁉

今回は、ムツイタガメの基本情報と飼育方法をご紹介いたします。ムツイタガメは、東南アジアに生息する、ちょっと変わった特徴を持ったカメ。名前の由来は、通常のカメが5枚しか持っていない椎甲板(背甲の背中線に並ぶ甲板)を6枚持っていることからきています。

執筆者:星野 一三雄

ムツイタガメの基本情報

ムツイタガメ
写真提供:aLive
ムツイタガメ
学 名Notochelys platynota別 名:-英 名:Malayan Flat-shelled Turtle分 布:タイ、マレーシア、インドネシア(スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島)甲 長:最大32cm

東南アジアに生息する、ちょっと変わった特徴を持ったカメです。

名前の由来は、通常のカメが5枚しか持っていない椎甲板(背甲の背中線に並ぶ甲板)を6枚持っていることです。

成体は、いわゆるアジアのヤマガメによくある褐色地で背甲に特徴的な斑紋もなく地味な感じですが、幼体は緑や明るいオレンジ色などをしていて結構派手であるそうです。頭部は褐色ですが、頚部から頭部にかけてオレンジ色のストライプが数本入っています。成長すると上顎から下顎、喉にかけて黄色なっていきます。

山間部や熱帯雨林の中の細流や浅い池などで生活していて、植物食性が強く水草などを食べているようです。しかし、落下したバナナなどの果実を食べていたり肉食もするようです。

繁殖生態はよくわかっていませんが、死亡したメス個体の体内から56mm×27-28mmの大きさの卵が3つ見つかった記録があります。孵化直後と思われる幼体は甲長が55-57mmで、成体よりも明るい色で、背甲の周縁の鋸歯状突起が発達しているそうです。

分類学とか進化とかをあえて無視するならば、本種ってきっとヤマガメの仲間の奇形個体だったんではないかなー、って感じてしまいます。で、椎甲板が他のカメよりも1枚多いことに何らかの意味があって、生存に有利なことがあったのではないでしょうか。で、そのまま種として分化していった、と。

ただ、甲板の数が異なるカメって他にもいろいろいてオリーブヒメウミガメなんて、その例ですから、別に特別な意味はないのかも。

幼体の画像が入手できなかったのは痛恨の極みですが、何にしても成体は本当に地味なカメです。

よく言われるように、椎甲板の数が多い、というだけでとりたてて特徴がないカメ、というのは事実で本当に地味なカメです。ただ甲板の数が違っている、その一点だけに価値を見出してこの種を飼育するってのもアリだと思います。そもそも私たち両爬飼育者なんて、そういう「変わった」生き物が好きなわけですから。

それに、成体は背甲もブ厚くてなかなか迫力もあるみたいです。CB化も進んでいないようだし、ぜひ国内のヤマガメファンの方々に挑戦していただきたいカメです。

CITES(ワシントン条約)の付属書II類掲載種

赤っ恥をかかない程度の知識
  • 何が「ムツイタ」かって、椎甲板が他のカメの5枚よりも1枚多い6枚であるということ
  • 東南アジアの半陸生カメ
  • 流通量は少な目
  • 植物食が強い
  • 幼体は派手で美しいらしい
  • 繁殖生態なども知られていないし、CBも見られない

 

背甲

背甲の椎甲板を示す

画像をクリックすると拡大画像と詳細が表示されます

 

ムツイタガメの飼育方法

飼育容器
60cmクラス以上の水槽や衣装ケースなど。

温度
温度の22~27℃程度が適温。高温部は27~30℃程度まで。冬は保温が必要

照明
あまり明るくない方がいいと思われる

床材(底砂)
保湿性のある素材を厚めに敷く

容器内レイアウト
陸生が強いとされるが、体高の半分程度の水深の水場を設置する。場合によっては半分くらいを水場にしてもいいかもしれない


植物食性が強いが配合飼料も食う

基本的な世話
いわゆるハコガメやヤマガメ類の飼育法ポイントは
  • 極度の高温と乾燥に注意
  • 水質の悪化に注意
  • 一週間に1回、霧吹きなどによって多湿になるようにする
  • WC個体の多くは大量の寄生虫を持っているようなので、必ず駆虫を行う
  • など
※「飼育の基本情報」は「爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ2(誠文堂新光社)」および海外サイトを参考にしました。

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