昆虫食性ヘビ編!虫を食べる爬虫類・蛇たちの飼育とは

昆虫食性ヘビ編!虫を食べる爬虫類・蛇たちの飼育とは

全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!

今は昔、私だって両爬飼育に関心を持ち始めた頃は
「何?ヘビって飼う時にネズミあげなくちゃいけないの!?キモっ!!」
って思ったもんです。
みなさんも経験があるのではないでしょうか?一般の方とヘビの話をする時に
「ヘビって餌は何をあげるの?」
なんて聞かれたことが。

でも、結局マウスを解凍したり、切ったり、そんなことにも慣れてしまうと
「あー、ヘビってマウス食わせとけばいいから楽だなー」
なんて思いますよね。

ところが、やっぱり
「ヘビは飼いたいけれど、どうしてもマウスに抵抗がある」
という方だって多いはず。

そこで今回は、久しぶりに「はじめての○○飼育」シリーズとして
「マウスが苦手な、そんなあなたにピッタリ!コオロギで飼育できるヘビがいるんですよ!!」
ということで「昆虫食性のヘビの魅力」を語ってみます!
   

ヘビの偏食

さて、ご存じのようにヘビというのは他の動物と違って、「専食」あるいは「偏食」が強い動物と言えます。つまり、特定の餌を食うことで生命を維持して生活をできるわけです。

もちろん、すべてのヘビがそうであるわけでなく、ある程度の許容範囲があり、飼育の対象となるヘビたちはマウスで事足りる場合も多いことは言うまでもありません。

しかし、いわゆる「変態ヘビ」と呼ばれて一部のファンに人気がある、本当の意味での偏食ヘビも世界中には多く存在します。
日本で言うならミミズしか食わないアオヘビやタカチホヘビ、マイマイしか食わないセダカヘビ、トカゲしか食わないシロマダラなどがその例でしょう。

世界に目を向ければ、カニ、サソリ、アンヒューマ、ムカデ...例を挙げればキリがありません。
で、残念ながらこれらの偏食の多くは代謝も高く、その特殊な餌を常時準備しておかなくてはいけないことがネックになり、飼育には不向きであると言わざるを得ません。

しかし、そんな偏食も、時として我々飼育者の味方になってくれるような場合があります。
それが「昆虫専食」のヘビです。
 

昆虫食性のヘビ

さて、昆虫食性のヘビと言えば北米のラフグリーンスネークが昔からよく知られています。
小型ですが緑色が美しく、樹上性という生活様式も飼育欲をそそられるヘビです。
緑がキレイ...
ラフグリーンスネーク 写真:EndlesZone

また、最近では中東の小型のヘビの中にも昆虫食性のヘビが見られるようになってきました。例えば、トオスジヒメレーサーは体色も明るく、樹上性のラフグリーンスネークに対して地表性という個性も魅力的です。

地表性というか、地中性に近い種類では北米の小型種たちにも昆虫食性のヘビが多いようで、地味な種類から派手な種類までいてコレクションの楽しみもありそうな感じです。
 

餌はコオロギ

さて、これらの昆虫食性のヘビたちは、何と言っても「コオロギ」を食ってくれることが最大の魅力です。

どうです?マウスが苦手でもコオロギだったら大丈夫でしょ?
え?コオロギはゴキブリみたいだからもっとキライ、って?
そういう人も多いですね。スミマセン。

ま、とにかくコオロギだったら、マウス以上に入手しやすく扱いやすいし、何よりも一般の方からも理解されやすいわけで、それでヘビを飼えれば楽だなー、って感じる人も多いのも事実でしょう。
 

昆虫食性のヘビ飼育の特徴

ただし食性が異なるというだけで、普通のマウスを食うヘビたちとは飼育味がかなり異なるのも事実です。それを理解した上で飼育に臨みたいものです。どんな点がマウス食いのヘビたちと異なるのかを少し考えてみましょう。

・給餌間隔が狭い
一般にマウスを食うヘビたちは、一回餌を食えば一週間くらいは餌を与えなくてもいいのですが、昆虫食いのヘビたちはそうは行かないようです。2-3日おきくらいに給餌をした方がいいでしょう。

・紫外線が必要
ヘビ飼育には紫外線は必須というわけではないのですが、どうやら昆虫食性のヘビには紫外線が必要であるようです。科学的に証明されているわけではないのですがそうやって飼育している方が状態がいい、という話が一般的です。

・栄養添加剤が必要
マウスは完全食品だから、というのはもちろん昆虫食性のヘビには通用しません。おそらく自然では、さまざまなものを食べてミネラルやビタミンを体に多く含んだ、種類も多様な昆虫類を食べて栄養のバランスをとっているのでしょう。
飼育下でコオロギばかりを与えていれば栄養は偏るのは想像に難くありません。カルシウムや総合ビタミン剤などの添加剤を利用するべきです。

・飼育容器を大きいものにする
飼育下で観察すると昆虫食性のヘビたちは、どうやら昆虫の動きに敏感に反応するようです。ということは他のヘビたちよりも視覚に頼って生活していることが考えられます。
そのため空間認識能力が高いのか、あまり狭い飼育容器では長生きをさせることができない傾向があります。

で、こうやって特徴を上げていけば賢明なみなさんは、お気づきになると思いますが、まったく昆虫食性のヘビの飼育というのは「トカゲ」のそれに似ているわけです。
ですから、ヘビの飼育というよりも、むしろトカゲの飼育に準じて考えるとうまくいくことが多いようです。

ただ、だからと言って、他のヘビ以上に神経質で飼育をしにくいと言うかというと、そういうわけではないようです。まだ、私も飼育をはじめてから日が浅いのですが、いくつかのコツをつかめば、なかなか楽しめるヘビです。
 

オススメの昆虫食性ヘビ

で、今回の記事のために私も2種類の昆虫食性のヘビを飼育してみました。というか、今がその飼育の真っ最中なんですが。
ここでは、簡単にその2種のヘビを紹介しましょう。詳しい紹介は、あらためてTerra Herps.で。

1種は、もはや昆虫食性ヘビの古典、昔からお馴染みのラフグリーンスネークです。
北米の南東部に広く生息する緑色が美しい細長いヘビです。最大で1m程度になる個体もいるようで、しっかり育ててれば存在感がバツグンでしょう。
何よりも、日本のヘビに見られない鮮やかなグリーンの体色が多くのヘビ好きの心を惹きつけてやみません。

樹上性で活動的であるため、飼育ケースも立体活動ができるようにした方がいいようで、カナヘビの飼育法が一番参考になるようです。

私の家でも、飼育をはじめた時に、とりあえず大きいケースの空きがなかったために、ちょっと大きめのプラケで飼育を始めてみました。
最初に餌を食ったから、これで何とか行けるかと思ったのですが、すぐに餌を食わなくなってしまいました。だんだんと目に見えて痩せてきて、半分はあきらめてしまいました。

ところが、カナヘビを飼っていた爬虫類専用ケースが空いたので、それに移動させた途端にコオロギを食うようになって、また体力が回復してきました。
やはり、カナヘビみたいな飼育方法が本種の飼育には向いているようです。

さて、もう1種は今までほとんど見向きもされていなかったマイナーヘビである「トオスジヒメレーサー」です。
これは中東に生息する小型のレーサータイプのヘビなのですが、どうやら野生ではサソリなどを食べているようで、昆虫食性のヘビとして飼育できるようです。
トオスジヒメレーサー 写真:EndlesZone

写真のように、ハデハデしさはないのですが体色も明るく、キレイというか清潔感があるヘビです。レーサーという割には動きもそれほど突発的ではありませんし。

で、本当にこれがコオロギを食うわけです。
ラフグリーンスネークが、ゆっくりとコオロギに近づきながら食うのに対して、こちらはスキンクの仲間のように、どんどん追いかけてコオロギを捕まえていきます。それこそ気持ち良いくらいに。

今年になってから、イスラエル便でやって来たそうなのですが、ほとんど生態の情報はなく、多くの方々が手探りで飼育にチャレンジしているようです。
しかし、ケース越しに餌もねだるような姿を見ていると、少なくとも飼育難易度は高くはなさそうで、もしかすると昆虫食性ヘビのスターになる素質を持っているように思えます。
あまり大きくもならなさそうですし、パンパン噛みついてくるようなこともないですし。

ちなみに我が家ではフラットプラケに、他のトカゲたちのお裾分けのメタハラの光で、今のところは問題なく飼育できています。

※トオスジヒメレーサーは昆虫専食ではないという情報もあります。もし詳しくご存じの方がいらっしゃいましたらご一報頂ければ、と考えております。ご協力をお願いいたします。

では、次に飼育方法に関して考えてみましょう!
 

昆虫食性のヘビの飼育方法

まずラフグリーンスネークですが、こちらは本国アメリカでも、やや飼育が難しいヘビとされているようです。
とにかくカナヘビみたいな感じで飼うとうまくいくようです。

・飼育容器
高さがある大きめのケースが必要です。また光を取り入れることができて、通気性も良く、脱走しないようなしっかりとしたフタ、と考えれば、必然的に爬虫類専用ケースを使うのが一番イイと思われます。

・保温
特に必要ありませんが、昼間はホットスポットを利用する方がいいでしょう。

・照明
紫外線が必要と言われています。爬虫類専用蛍光灯を設置します。

・床材
びしょびしょにならない程度の湿度を保てる素材と考えれば、黒土やピートモスなどがいいでしょう。海外では土を厚めに敷いて、その上にバークチップとミズゴケで敷くようです。

・インテリア
水容器は設置します。
また樹上性なので木の枝を配し、観葉植物を置くと喜ばれるようです。

・餌
カルシウム剤や栄養添加剤をまぶしたコオロギを主食にしますが、比較的同じ餌だと飽きてしまうことが多いようなので、ハニーワームなどさまざまな昆虫類を与えると食欲が戻るそうです。

・世話
水入れよりは霧吹きの水を飲むようなので、湿度保持を兼ねて朝に霧吹きをします。

昼行性なので、餌は朝のうちに餌入れに入れておく方がいいでしょう。
給餌頻度は多めにして、2日おきくらいに食うだけ与えます。

慣れればハンドリングも可能のようですが、体が細いのであまり長い時間は避けた方がいいでしょう。

意外にラフグリーンスネークは日本では、流通量の割に長期飼育に成功をしている例が多くありません。
「ヘビ」を飼育するという感覚でなく、「樹上性の足のないトカゲ」を飼育するという気持ちにさっさと切り替えて、「照明」「通気性」「頻回の給餌」を心がけて長期飼育にチャレンジして下さい!
 

昆虫食性ヘビ界のニューフェイス

さて、今回の昆虫食性ヘビの中でもっともオススメしたいのがトオスジヒメレーサーです。こちらは、おそらくラフグリーンスネークより飼育しやすいようです。

・飼育容器
地表性が強いようですので、高さのあるケースでなくて構わないようです。
スタンダードなフラットプラケでいいでしょう。

・保温
分布域から考えると冬は保温した方がいいかもしれません。
フィルムヒーターなどでケースの下から暖めればいいでしょう。もしかするとホットスポットがあった方がいいかもしれませんので、ケースの大きさに余裕がある場合は使ってみましょう。

・照明
昼行性で昆虫食ということを考えれば、念のため紫外線の用意をした方がいいでしょう。
爬虫類用の蛍光灯を設置してみましょう。

・床材
乾燥系のヘビと考えられていますから、目の細かい砂が一番イイと思います。
ただし、我が家では他のヘビと同様にウッドシェイブで済ませてしまっていますが。
あまり床材の中に潜るようなこともありませんから、厚さは薄くていいと思います。

・インテリア
水入れとシェルターがあれば良さそうです。

・餌
現在のところ、我が家では飽きもせずヨーロッパイエコオロギばかりバクバクと食べています。もちろん栄養添加剤は必要でしょう。
給餌間隔は2日おきくらいにイエコを5匹ずつくらいです。

・世話
ラフグリーンスネークよりは、かなり飼育しやすい印象です。

乾燥系ですから、あまり霧吹きなどの湿度管理も必要はなさそうです。水入れの中にも、好んで入っている姿も見たことがありません。

レーサータイプのヘビなので、やや動きも速いですからハンドリングには向かないと思います。ただし、噛みついてくるようなアグレッシブな面もありません。

とにかく、自然での生態の情報もほとんどないヘビですし、私もまだ数ヶ月しか飼育していませんから、ここで紹介した方法で完璧かどうかはわかりません。
もしかしたら、他の偏食ヘビのように餌を食べていても突然死することもあるかもしれません。その点はご了承下さい。
ただ、とにかくここまで飼育してみた感想は、単純に「おもしろい」です。
トカゲのような環境の要求もありますが、ラフグリーンスネークよりはヘビの飼育に近い感じです。
物怖じもしないし、私的には久しぶりのヒットです。

以上、2種の昆虫食性ヘビの飼育や魅力に関してご紹介をしてみましたが、みなさんは興味を持たれたでしょうか?
ホントにムシ食ってるよ...
イエコを食うトオスジヒメレーサー

何にしても、ヘビがコオロギを食っているシーンというのは、本当に違和感があります。
で、その違和感が実にイイんです。
いかにも「変な生き物飼っているなー」って満足感があって。
私にとっては、それが昆虫食性のヘビを飼育する最大の魅力です。


【関連記事】

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。