スラウェシクロコダイルスキンクの基本情報
スラウェシクロコダイルスキンクの基本情報・飼育方法
学 名:Tropidophorus baconi別 名:セレベスミズトカゲ セレベスクロコダイルスキンク ベーコンミズトカゲ、アプルスクロコダイルスキンク、アプルスミズトカゲ英 名:Sulawesi spiny Water Skink分 布:インドネシア(スラウェシ島)体 長:頭胴長12cm程度 全長25cm程度
そのゴツゴツした感じの外見と水生傾向が強いという個性からじわりじわりと注目を浴びてきているミズトカゲ(クロコダイルスキンク)の一種です。
クロコダイルスキンクTropidophorus 属はスキンク科のトカゲでミズトカゲ、クロコダイルスキンクの名前からわかるようにワニのようなゴツゴツした体表と水生傾向が強い小型のトカゲです。東南アジアを中心に24種ほど知られていますが、今まで日本では特別に注目を集めることがないグループです。
本種はインドネシアのスラウェシ島のみに分布し、またスラウェシ島には本種しか生息していません。これまでスラウェシ産として流通していたのはT. apulusという学名、そのため「アプルスミズトカゲ(クロコダイルスキンク)」というインボイスネームでした。
実はこの学名は間違いだらけなのです。かつてはスラウェシには近縁種のオニヒラオミズトカゲT. grayi が分布していると考えられており、その名前で流通していましたがJ.P.Bacon博士という学者がよく調べて「スラウェシのTropidophorus は新種である」結論し、T. aphilus の学名で新種記載の準備をされていました。
ところが不幸にも1986年にBacon博士は急逝され新種記載はされませんでした。しかし、その後このT. aphilus という学名が一人歩きをし「スラウェシのTropidophorus はT. aphilus である」となってしまいました。さらになぜかこの学名はT. apulus と綴りが誤った形で流布してしまい「スラウェシのTropidophorus はT. apulus ・アプルスクロコダイルスキンクである」となってしまったのです。
その後、日本の学者が詳しく再調査を行い改めて新種記載を2003年に行い、さらに亡きBacon博士に献名をしてT. baconi となって、ようやく正式な名前が付いたのです。
体表はヨロイトカゲのような固い鱗に覆われており、特に尾部は棘状の鱗が発達しています。体色は暗褐色ですがわずかに数本のバンドが入ります。腹面は黄白色で上顎から下顎まで口唇部が明色になっています。一般に近縁種であるオニヒラオミズトカゲは口唇部も体色同様に暗褐色なのでこれで見分けることも可能です。厳密には
- 背面の鱗が棘状に発達しない
- 前肛孔が1列である(オニヒラオミズトカゲは3列)
ほとんど自然下での生態の情報はありませんが、生息環境は森林の沢周辺であり、岩の上で日光浴をしている姿なども観察されていますが、水に浸かっていることも多いそうです。繁殖生態は、他のミズトカゲ類と同様に胎生であると考えられています。
昔から人気のあるシナワニトカゲに似ていますがあまり大きくならず、今後人気が出そうなトカゲです。ただし自然での生息状況はよくわかっていませんのでWCに頼らず、せっかく日本の学者が新種記載したのですから、日本人の手でCB化したい種類です。
赤っ恥をかかない程度の知識
- 原産地はインドネシアのスラウェシ島。フィリピンじゃありません
- スラウェシには本種しかいない
- 胎生
- 水生傾向が強いためアクアテラリウムでの飼育が可能
- 意外に大きい
- 学名はT. apulus ではない
スラウェシクロコダイルスキンクの飼育方法
飼育容器:60cmクラス以上の水槽温度:適温は24-26℃前後。ホットスポットは30℃前後
照明:紫外線灯やバスキングランプが必要
床材:特に必要ない。陸上ベースの飼育方法ならば湿度を保持できる素材
容器内レイアウト:半水生カメの飼育のように広い水場にレンガなどで陸地を設置し、水中式のフィルターなどで水を管理する。床材を敷いて広めのタッパーに水を張る方法でも飼育できる
餌: 基本的に昆虫食であると思われるのでコオロギやミールワーム。カルシウム、ビタミンなどの添加剤は必須。大型の個体はピンクマウスなども食う
基本的な世話 半水生トカゲの飼育法
- 陸地には必ず完全に乾いた場所を作る(ホットスポット下など)
- 水は常にキレイにする
- など
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