爬虫類・両生類/両生類・爬虫類関連情報

コモドオオトカゲの単為生殖(2ページ目)

ビッグなクリスマスプレゼントが、動物の神様から我々に贈られてきました。世界最大のトカゲ・コモドドラゴンが、なんとよりによって単為生殖をしている...遺伝の勉強も少し入った記事になっています!

執筆者:星野 一三雄

コモドオオトカゲとは

ご存じない方はいらっしゃらないと思いますが、念のため今回の主役であるコモドオオトカゲに関して、基本的な情報をご紹介しておきましょう。
いつもの調子でレタッチしたら、ちょっと写真が大きすぎかもしれません
コモドオオトカゲ
写真提供 動物の恋人

コモドオオトカゲVaranus komodoensis はオオトカゲ科の1種で世界最大のトカゲです。
一般的に全長は2.6m前後ですが、これまでの最大の記録は313cmという巨大なトカゲです。
成体は全身が灰褐色ですが幼体は明黄色の斑紋が散在する美しい体色をしています。

インドネシアの小スンダ諸島のコモド島などのいくつかの島に分布しており、主に乾燥したサバンナや開けた森林で生活をしています。
幼体は樹上で生活していますが、成長すると陸上生活に移り、ヤギやブタなどの大型哺乳類から爬虫類、鳥などを食べています。
野生では比較的気性が荒く、貪欲であるためこれまでも人間が襲われたり、食べられたという事案も起こっています。

一昨年に話題になったのですが、大型の哺乳類などを襲い、咬みついた時に口腔内の50種以上の細菌を獲物に感染させて敗血症を起こさせて殺す、ということが知られています。
もちろん咬みつかれた獲物は、すぐには死にませんが数日後に敗血症で絶命します。この時の死臭をコモドオオトカゲは遠くから嗅ぎとって見つけ出し、死肉を貪り食うらしいということです。

一般にオオトカゲの仲間は、英語でモニターリザードと呼ばれるのですが、コモドオオトカゲだけはその特別な存在感から「コモドドラゴン」と呼ばれています。
ただし、乱獲により生息数が激減しているため厳重に保護されており、ワシントン条約(CITES)の附属書I 類に掲載され、商取引は禁止されています。

※参考「爬虫・両生類ビジュアルガイド オオトカゲ&ドクトカゲ(誠文堂新光社)」

このように多くの個性を持ち合わせているため、飼育できるとかできないとかの問題とは別に、世界でもっとも注目されている爬虫類と言えます。

爬虫類の単為生殖

前述したように、爬虫類の単為生殖というのは、それほど驚愕に値するほどの話ではありません。

しかし、よりによって世界最大のトカゲであるコモドオオトカゲでそれが行われた、ということが驚愕なのです。ある意味、欲張りすぎですよ。だって「世界最大」「限られた分布域」「厳重な保護対象」...などなどコモドオオトカゲを説明するための話題はいくらでもあるのに、その上「単為生殖可能」とくるんですから。

これまでも比較的爬虫類の単為生殖は知られていて、例えば日本ではオガサワラヤモリキノボリヤモリブラーミニメクラヘビがよく知られています。
また外国産の種でも、ホビーの対象種としてはイボヨルトカゲは非常に有名な例です。
ただ、これをお読みになっているあなたがほとんど爬虫類に関心のない方ならば、ここに挙げた生き物の名前なんて聞いたこともないような種類ばかりでしょう。

それに、リンク先のページをご覧いただければわかるように、どれもこれも小さくて目立たない種です。ブラーミニメクラヘビなんて脊椎動物であることさえ疑わしくなってしまうような生き物ですから、あんまり単為生殖していたって不思議じゃないです。と言うかむしろ雌雄でまぐわう姿を想像することなんてできません。

私たち爬虫類飼育者にとってもそのイメージはほとんど同じで、単為生殖なんてそういう地味であまり縁がない、せいぜい「単為生殖種ならペアをそろえなくてもいいから繁殖楽だね」程度の認識でしかなかったわけです。

そんな常識の中で、次に出てきた単為生殖種が世界最大のトカゲというのだから驚くのも無理はありません。
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