今年2006年ももうすぐ終わろうというこの時期に。そして偶然にもクリスマスというタイミングで、この両爬界にド肝を抜くようなニュースが舞い込んできました!
そのニュースは何と...
「世界最大のトカゲ・コモドオオトカゲが単為生殖をした!」
もう、これって2006年の重大ニュースのトップニュースに確定でしょう!
今回は、速報の意味もありますが、この話題をご紹介しましょう!
ニュースの概要
その仰天のニュースが私の耳に入ってきたのは12月21日午後2時でした。どうやらネットで流れる前に、すでにテレビとか新聞に出ていた、ってことなんですがうちはテレビ壊れているし、新聞は職場でしか見ていなくて...で、肝心の内容なんですが、要するに。
「イギリスの2つの動物園で飼育中だった2頭のコモドオオトカゲがオスと接触がないまま産卵をして、孵化に至った。」
つまり交尾をしないまま、メスだけで繁殖ができた、ということなんです。で、このニュースはなんと世界でもっとも権威ある自然科学の総合学術雑誌「Nature」誌での掲載ですので信憑性も十分です。
このようにメスだけで繁殖を行うことを「単為生殖」と言います。
あまり生き物に詳しくない一般の方から考えれば、「メスだけで子どもを作るなんてマリア様じゃあるまいし...」なんて驚くかもしれませんが、無脊椎動物まで含めれば自然の中ではそれほど珍しいことではありません。形式はさまざまですが、例を挙げればキリがないくらいです。
どうやって単為生殖つまりメスだけで子供を産むかの仕組みは、後述するとして、もう少し今回のニュースを解説してみましょう。
今回、単為生殖が確認されたコモドオオトカゲはイギリスのチェスター動物園で飼育されている個体(『Frola』という名前)と同じくイギリスのロンドン動物園で飼育されている個体(『Sungai』という名前)です。
チェスター動物園のFrolaはこれまでオス個体と交尾はおろか接触したこともない正真正銘の「処女」というか「箱入り娘」だったのですが今年5月に11個の卵を産卵しました。
このうち孵卵中に割れてしまった3個の卵を調べると正常に発生をしていたらしく、残る8個の卵は今月末から来月の初めに孵化をする予定だそうです。
一方、ロンドン動物園のSungaiでは2年以上オスと接触をしなかったメスが昨年8月に産卵し、卵は今年の初めに孵化しました。現在も4匹の幼体が育っているそうです。
と、ここまで読んで多くの両爬ファンは「貯精(精子をメスの体内に蓄えておいて必要なときに受精させること)だろ?よくあることだろ。」って考えたはずです。私も。
ところが、Frolaの割れてしまった卵、そしてSungaiの子供たちの遺伝子を調べてみると、明らかにメス親の単為生殖によるものと確認されたのです。