爬虫類・両生類/両生類・爬虫類関連情報

2つの摘発事案(2ページ目)

7月に、2件連続で「外来生物法違反」と「動物愛護法違反」で両爬関係の摘発事案が起こってしまいました。今回は簡単に、この事案から学べることを考えてみましょう。

執筆者:星野 一三雄

教訓

この事案で明らかになったいくつかの事実を見ていきましょう。

1.外来法で警察が捜査をするという事実
多くの物議を醸し出し、未だにタンカイザリガニやカダヤシ、セイヨウオオマルハナバチなどで議論の対象になっている特定外来生物法ですが、なんだか関係する人間すべてが、何となく納得できないモヤモヤしたものや今後の不安を抱えたまま施行されたわけです。
もちろん施行されたのですから、守らなくてはいけないし、違反すれば摘発されるのですが、何となく「現実的でない」という感じがしていました。言い換えれば「なめていた」人も多いかもしれません。
しかし今回の事案からわかるように、カミツキガメが見つかれば警察は「特定外来生物法違反の疑い」で捜査をして、「違反者」を見つけ出そうとするのだということが「現実」としてあるいは「前例」としてわかりました。
もしも警察が本気になれば、たぶんそんなのすぐにわかるのではないでしょうか。

2.一発で検挙されてしまったという事実
刑事事件というか、刑事訴訟法というのはよくわからないのですが、今回の事案はちょっと書類送検された会社員に同情してしまうような感じがする方も多いかもしれません。
特に事案2は、本来はカミツキガメの事件であったのに、そのとばっちりを食ったみたいな感じで発覚してしまったわけですから。で、一発で新聞沙汰です。
これに関しては、あとでもう少し考えてみましょう。

3.警察がカミツキガメを飼育していたと思われる人物に到達できた事実
警察をなめているわけじゃないんですが、これにも少し驚きました。
やはり、これって近所で「でかいカメを飼っている○○さん」とか、そんなんで有名だったのかもしれません。

4.とりあえず書類送検であった事実
あまり法律用語は得意ではないんですが、立件されて起訴され、裁判で有罪判決が出るまでは書類送検ならば身柄を拘束されるわけでもないし、通常の生活に支障はないはずです。
しかし、今回の場合は起訴に至れば「無断で飼育してはいけないカミツキガメ・ワニガメを、無断で飼育していた」という確たる証拠があるわけで、明らかに法律に違反していますので無罪という判決が出ることはないでしょう。罰則規定は外来生物法で「懲役一年以下もしくは百万円以下の罰金」、動物愛護法で「六月以下の懲役または五十万円以下の罰金」ですから、その範囲での判決が下されるのは間違いありません。
有罪判決が出れば「前科」になります。
「たかが」カメの飼育で、下手をすれば人生が大きく変わってしまうかもしれません。

5.カミツキガメの飼育許可の申請が受理された事実
特定外来法で特定外来生物に指定されたならば、半年以内に飼育の許可をとらなくてはいけません。
カミツキガメの場合は平成17年12月1日までに許可を得なくてはいけなかったのですが、今回は事件が発覚した平成18年6月2日付け、つまり締切後で飼育許可申請が受理されました。
おそらく特例という形なんでしょうけども。

一発検挙について

先述したように、特に今回の事案2は別の事件の捜査の過程の中で発覚したことです。違法飼育とは言っても、とばっちりを食ったような形で一発で書類送検つまり新聞沙汰になったわけで、これは私たち飼育者もかなりの衝撃でした。

当然であることは十分にわかっているのですが、ちょっと厳しいような印象を受けてしまいます。
警察が動いてしまえば「事件」であるし、被疑者ということになれば、どのような事情であれそれを見逃すことはできません。あとは事情を鑑みて「不起訴」になることを祈るのみです。

「逃げ道」ということではないのですが、何かこうならないための方策はないのでしょうか?
私は、保健所の方の一言がヒントになって、ある考えが浮かびました。

そうならないために

今回の事案を保健所の方などに聞いてみると
とにかく警察沙汰になってしまったら、どうにもなりません。この事件の場合も保健所と話し合いをちゃんとしておけば摘発されなかった可能性が高かったのでは。
とのこと。
しかし、そこで私は考えました。
「じゃあ、警察沙汰にならなければいいのでは?」

仮に、今回の事案が許可を得るところまで行っていなかったとしても、外来生物の場合は「環境省地方事務所」、危険動物の場合は「保健所などの担当部署」に飼育に関しての相談をしていて指導なりを受けている最中ならば、おそらく書類送検はされたとしても「不起訴処分」になって裁判までいかないだろうと考えられます。

もちろん、特に外来生物の場合は許可の申請は締め切りがあるわけで、それが過ぎてしまえば「違法飼育」になるわけです。
しかし、これは(ある程度根拠がある)私の私見なんですが、おそらく公的機関でも飼育者から「違法飼育」している旨のカミングアウトがあったとしても、そのまま警察へ告発される、ということはないと思います。とにかく急いで飼育許可の申請を出してくれ、と急かされるでしょう。

ですから、もしもこの記事を読んで頂けている「違法飼育者」の方がいらっしゃいましたら、今すぐに外来生物の場合は「環境省地方事務局」へ、危険動物の場合は「保健所」または「自治体の動物愛護担当部署」へ相談をして下さい。少なくとも、そのまま警察へ告発されてしまう、ということはないと思います。

特定外来生物の相談はこちら↓
環境省地方環境事務局一覧 from 環境省

特定(危険)動物の相談はこちら↓
地方自治体動物愛護管理行政担当組織一覧 from 環境省

環境省も、一番困るのは違法飼育者が困って大量に遺棄することが、最も恐れていることであり、最も理想としていることは適切な飼育を飼育者が続けていくことなのですから。

このままでは、世の中から
「爬虫類やら変なのを飼育している連中なんて、決まりも守らないで人に迷惑をかける連中ばかりだ」
なんて思われるようになってしまいます。

どうかよろしくお願いいたします。

<参考サイト>
環境省

<おすすめINDEX>
必須法律知識

<ガイド記事>
危険動物飼育許可
特定外来生物法 Part14 飼育許可をGET!!
飼育の許可申請
法律条約関係データベース 特定外来生物指定種リスト
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