編集:「星野さん!ウーパールーパーって肉食なんですって!?」
ガイド:「いや、両生類だから...(植物食の両生類なんかいねーって)」
編集:「えっっっっ!?あれって両生類なんですか!?」
ガイド:「ですよ...(って、なんだと思ってたんだよ。まさか本当に宇宙からやって来たとおもってたんだじゃねーだろーな?)」
編集:「すげー!ちょっと、それみんなに教えてきますわ!!(ガチャン!ツーツーツー)」
ガイド:「...おい」
この辺が私たち生き物好きと一般の方の強烈なギャップ。
あの一世を風靡した「ウーパールーパー」ですが、意外に世の中の人たちって、この生き物のことをご存じない方が多いようで。
というわけで、今回は、これまた一般の方向けに「ウーパールーパー」に関するアレコレをご紹介してみます!!
ウーパールーパーブーム
「ウーパールーパー」 |
写真:ウーパールーパー前線要塞基地 |
詳しくは後述しますが「ウーパールーパー」は、私が幼い頃に見た図鑑なんかでは「アホロートル」という名前で紹介されていましたので生き物好きの間ではよく知られた存在でありました。例えばひも解いてみると昭和48年発行の「週刊世界動物百科 第144号」には、すでに紹介されていました。
このウーパールーパーが、日本中に知られるようになったのは昭和60年(1985年)のことです。私の記憶だけで考える範囲では日清の「やきそばUFO」のCMに「宇宙からやってきた生き物」という設定でキャラクターとして登場し、お茶の間の人気者になりました。「アイアイアイ、ボクはウーパールーパー、UFOからやって来たんだ」というような感じのCMソングは歌詞はどうあれ、未だに耳について離れなかったりしています。
※で、調べてみるとこの歌、耳に残るのは当然。あの尾崎亜美が歌っていたんだということが判明。曲名は「Wuper Dancing」というらしい。
ただし、ネット上などで調べると、UFOのCMに先んじて同じ年の1985年に大関酒造がCMでアホロートルとして登場させていたことが判明しました。そういえばなんとなくうろ覚えですが、あったような気もします。
とにかく、テレビで紹介されたウーパールーパーは、前年の1984年(昭和59年)に、同じくCMで紹介され大ヒットした「エリマキトカゲ」に続く「変な動物」ブームの主役になったのです。もちろん実際は、広告業界がエリマキトカゲに続くような動物として白羽の矢を立てたというのが真相のようですが。
ブームの影響
さて、CMに登場したウーパールーパーは、もちろんキャラクターとして商品化されたりしました。当時は、よくわかりませんが現在も「ウーパールーパー」は登録商標として平成14年に登録されています。ちなみに「ウーパールーパー」というのは、もちろんこの生き物の正式な名前ではありません。これも後述しますが、一般的には「アホロートル」と呼ばれている生き物なのですが「アホ」と「ロートル」と、どちらも決して良い意味では使われない単語を連想させる言葉でしたので、考え出された造語です。未確認情報ですが、最初は「スーパールーパー」という名前にしようとしたらしいのですが、「スーパー」ではありがちなので「ウーパー」にした、そうです。
また一般の方から見ると、よほどあの外見はおもしろいらしいのか、マンガなどでもキャラクターのデザインによく使われるようになりました。もちろん「ポケモン」でも使われていますし、「ケロロ軍曹」の宇宙アイドル「スモモちゃん」もたぶんそう。さらに遡ると「うる星やつら」の「プール妖怪」もたぶんモチーフはアホロートルでしょう(ただし登場は1985年以前ですが)。
このブームの影響で、両爬というよりもむしろ観賞魚としての位置づけで「ウーパールーパー」はペットショップで大量に流通しました。前年のエリマキトカゲは飼育に不向きでしたが、こちらは飼育技術も確立していましたし、エリマキトカゲほどヒドイ扱いを受けることはなかったようです。それでも「コップで飼育できる」とかいい加減な情報で扱いを受けていたのは事実なようで、当然流通量に比例して、ブームのせいであっけなく死んでいった個体数も急増したことでしょう。
もちろん水族館や動物園、デパートの催しなどでも「ウーパールーパーを出せば客が集まる!」ということで、さかんにイベントなどをしていました。
当時は、私も大学生でしたので(年齢を感じてしまう...)このブームを冷めた目で見ていたことを思い出します。前年のブームの裏で消費された多くのエリマキトカゲを見て辟易していましたので。それと、私は本来は色彩変異個体(ウーパールーパーは基本的に白や黄色の色彩変異個体です)があまり好きではなかったので、それもあって特別には興味を持っていませんでした。
その後のウーパールーパー
さて、1985年のブームの後、ウーパールーパーたちはどうなったのでしょうか?先述したように、現在でも細々とではありますが、キャラクターのデザインなどに使われているように、日本の文化(?)として根付いたと言えますが、肝心の生体はどうなったのでしょう?宇宙に帰ったのでしょうか?
エリマキトカゲや他の一世を風靡した生き物たちとの大きな違いはココにあるといってもいいかもしれません。つまり、他の多くの一過性のブームを作った(作らされた?)生き物たちはあっという間に忘れ去られたり、日本に連れてこられて悲惨な目にあったり、悪者扱いの外来生物になってしまったりしましたが、ウーパールーパーはペットとしての地位を築いたと言えます。
現在でも、熱帯魚ショップや金魚屋に行くと比較的容易に彼らに会うことができます。もちろん購入することもできます。ブーム以後、比較的丈夫で飼育もしやすく、何より実験用として飼育と繁殖の技術が確立しているためコンスタントに流通しています。
価格帯は概ね2000円くらいから5000円くらいまでのようです。
また両生爬虫類を扱うショップならば、注文をすれば取り寄せてくれるような場合もあります。
私たち両爬飼育を趣味とする者達は、あまりアホロートルに関心を持っていない場合が多いのですが、それでもペット的に飼育をしていたりコンスタントに繁殖をさせているような方も多くネット上などでもかなりの情報を得ることができます。カラーバリエーションも豊富なので、コレクション的に飼育することもできますので、そういう意味では両爬飼育者にもっと関心をもってもらってもいいかもしれません。
ほぼ野生本来の色彩に近い品種「マーブル」 |
写真:ウーパールーパー前線要塞基地 |