改正による問題点
ただし、これはホッとできる事ばかりではありません。以下の2点に課題があるといっても良いでしょう。ボア・コンストリクター | |
写真提供:レプタイルストア ガラパゴス |
- ボアコンストリクターはやはり指定された
- 改正前より厳しくなった自治体もあった
1.に関しては、もちろん賛否両論あって、一般の方や行政からすれば最大5mのヘビなのですから、許可どころか飼育自体を禁止したいところでしょう。しかしボアの中でもペットとして飼育するのに向いており、アメリカなどでも多く飼育繁殖されているわけですから、もう少し気楽に飼えないものかと両爬ファンの多くは考えてしまうわけです。
今回の改正で危険動物の見直しが図られる、ということで「ボアコンが外れないか」と期待していた向きもあったのですが、変わらず「特定危険動物」として飼育に規制がかかることになったわけです。
2.に関しては深刻かもしれません。改正前は危険動物の指定はある程度、自治体の判断に任されていたわけですが、基本的に政令で定められた種類を外して指定を行っていた自治体はありませんでした(山口県のような一部の例外を除く)ので、改正によってさらに厳しくなったというのはありません。
ただ、ここで注目したいのは高知県です。
高知県の条例では、「ボア科・コブラ科・クサリヘビ科全種」なのですが、「体長100センチメートル以上と毒ヘビに限る」という、非常に現実味がある規制になっているのです。
つまりボアコンだろうが、アナコンダだろうが1m未満の個体ならば、許可を得ずに飼育することが可能だったわけです。
改正によって、高知県の条例がどのように変わるのかわかりませんが、見方によっては「厳しくなる」と考えられます。
これからの危険動物
それでも、まだ心配は尽きません。例えば、前回の改正のように自治体による差が、また生じるのではないか、という疑問です。
例えば、自治体によっては条例で、やっぱり「ボア科全種」とかになるのでは?とかです。
これに関しては安心して良いようです。と言うのも、あまり詳しくないのですが、条例が法律を上回って規制をかけていく、というのは憲法違反になる可能性があるからだそうです。前回は法律の中に「自治体に任せる」みたいな内容があったのですが、今回はハッキリと「政令によって」とありますので、上乗せはなさそうです。
とにかく、決まったものは守らなくてはいけませんので、飼育者のみなさん、特にボア・パイソンマニアの方はテンションが下がってしまうかもしれませんが、ぜひ前向きに飼育を頑張って下さい。
今回はボールパイソンやグリーンパイソンなどのボア・パイソンの人気種、あるいは各種モニターなどの大型トカゲ類は指定されませんでしたが、油断は禁物です。これから先の改正で、指定されてしまうことは十分考えられます。
現実にボアコンが入ったのだって、前回の改正の直前に脱走したボアコンが一般の方に咬みついてしまったニュースが無関係であるとは言い切れません。
人に危害を加えることができる可能性を持っている種類を飼育されている方たちは、脱走などには今まで以上の注意をはらって欲しいものです。
ただし、ちょっとだけ私見。
この記事を書いている数日前に熊本県で「土佐犬が女性をかみ殺す」というニュースがありました。
土佐犬って危険動物に指定されていないんですよね。これってどう?納得いきにくいですよね...いや、両生爬虫類とワンちゃんの違いなんだっていうのはわかっているんだけど...
イヌ科の指定は「タイリクオオカミ」だって。いや、タイリクオオカミとイエイヌって、今では同種(亜種違い)じゃないの?
ちょっと差がありすぎるんじゃないの?だってヤマカガシを飼育するのにもヒャンやハイを飼育するのにも許可が必要になっちゃうんだからさ...
やっぱり須く動物の飼育は免許制にするべきでしょ...
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