爬虫類・両生類/爬虫類・両生類関連の法律

動物愛護法改正(後編) 特定危険動物(2ページ目)

いよいよ「改正愛護法」の施行まで2週間あまりとなりました。今回は「特定危険動物」に関して解説してみました。

執筆者:星野 一三雄

危険動物の指定

私たち両爬飼育者にとって、いわゆる「危険動物」は今までの「動物愛護法」の最大の問題点であったといっても良いでしょう。

危険動物に関しては前回の改正である平成11年の改正で具体的に登場した規制です。しかし、この時にはいわゆる「危険動物」の指定は「政令」で定め、それをベースに都道府県および政令指定都市ごとに「条例」で「危険動物」の種の指定をしていました。
その結果、自治体ごとに「許可がなくても飼育していい種類と飼育に許可が必要な種類がバラバラになって」しまいました。
さらに飼育の許可を得るために必要な、使用施設の基準も種類ごとに考慮されず、とてもハードルが高く感じられるような場面も多かったわけです。
具体例を挙げてみましょう。
私の住んでいる宮崎県では条例により、飼育が許可制であるボア・パイソンは
  • ボアコンストリクター

  • アナコンダ

  • アメジストニシキヘビ

  • インドニシキヘビ

  • アミメニシキヘビ

  • アフリカニシキヘビ

の計6種類です。
そこで私が例えば、とても小さなボア科のヘビであるロージーボアを飼おうと思っても、許可をとらなくても良いし、飼育施設も自分の価値基準で準備をすれば良かったわけです。

ところがもっとも条例が厳しく感じられる自治体の1つである茨城県などでは「ボア科全種」が「危険動物」として指定されていますので、ロージーボアを飼育しようと思えば知事の許可を得なくてはいけません。さらに許可を得るためには、単純に考えれば以下のような厳しい飼養施設の基準をクリアする必要がありました。
  • ガラス水槽の場合は強化ガラス、木製の場合は25mm以上の厚さの木板でできた飼育容器

  • すべての戸には1個以上の施錠が必要

  • 1.5m以上の人止柵を飼育容器から1m以上離して設置

などです。
もちろん杓子定規に適用されずに、臨機応変に対応していた自治体などもあったようですが。

今回の改正によって、これらの自治体による差がなくなって、全国一律に「特定危険動物の指定」と「飼育施設の基準」が定まったことになります。
この時に、全国の両爬ファンの間に
「改正によって、全国一律に『ボア科全種』とかになったらどうしよう...」
と言うような最悪の事態が心配されたのですが、結局はほとんど改正前の政令と変化がなく、以下のように決まったわけです。

決定した特定危険動物

  • カミツキガメ科全種(カミツキガメを除く)

  • ドクトカゲ科全種

  • オオトカゲ科(2種)・・・コモドオオトカゲ、ハナブトオオトカゲ

  • ボア科(6種)・・・ボアコンストリクター、アナコンダ、アメジストニシキヘビ、インドニシキヘビ、アミメニシキヘビ、アフリカニシキヘビ

  • ナミヘビ科・・・ブームスラング属、アフリカツルヘビ属、ヤマカガシ属、タチメニス属

  • コブラ科全種

  • クサリヘビ科全種

  • ワニ目全種

以下のページは完全ではありませんが、ナミヘビ科やコブラ科、クサリヘビ科の種類を可能な限り学名レベルでリストアップされています。ちょっとスゴイです...
危険動物の種類
危険動物の種類(ヘビ亜目)
北海道後志支庁環境生活課のページより
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