映画の主役「トッケイ」
要するに、この映画は東南アジアを代表するカベチョロ系ヤモリ・トッケイGekko geckoの悪霊の物語です。万一、普通の映画ファンの方が、私のサイトを間違って訪れているかもしれませんので、簡単にこの映画の主役であるトカゲ、つまり「トッケイ」という名前のヤモリについてご説明しましょう。
トッケイは私たち両爬ファンの間では単に「トッケイ」あるいは「トッケイゲッコー」と呼ばれる大型のヤモリです。日本の街中や民家などで見かけるニホンヤモリと同じ仲間ですが、日本のヤモリと比べて非常に大型になり、また美しい体色を持っています。
全長が20~35cmですから、15cmにも満たない日本のヤモリから比べるとかなり大型です。しかし映画の後半に登場する個体(あ、言っちゃった...)は、あれはウソです。あんなにでかくなりません。
写真や映画の画面中ではわかりにくいですが、体調が良い時は全身、水色地にオレンジ色のスポットが無数に入り、美しく発色します。ただし、それを毒々しいと見る向きもあるようですが。
主に東南アジアを中心に中国南部からインド、ネパール付近まで広く生息し、屋内などにも姿を見せます。もちろん人間を襲ったりしません。むしろ屋内の衛生害虫などを餌にしているため、人間にとってはありがたい存在であるとも言えます。
映画中に出てきたように、特徴的に大きな声で鳴き、その声が「トッケイ」あるいはヤモリを表す英語「Gecko」の由来になっており、国によっては「7回連続でトッケイの声を聞くと幸福が訪れる」とも言われています。トッケイの鳴き声(mp3形式)from 異界書房
ただし、大きな声、毒々しい体色、大きさそして後述する荒い性格や威嚇姿勢などから忌み嫌っている国や地域もあるようです。この映画は、そういうことがヒントになって作られていると思われます。ですから、そういう文化の方がこの映画を見たら、卒倒するのかもしれませんね。
トッケイの性格
多くのトッケイ飼育者は愛情を込めて言います。「トッケイは怖い」と。私は飼育したことがないので、あまりわからないのですが、どうやらトッケイは「気が荒い」ようなのです。両爬をあまり知らない人には「凶暴」と映るかもしれません。
とにかく捕まえようとすると「咬む」個体が多いようで、口も大きく刃も鋭いため、場合によっては流血の惨事になることもあるとか。
さらに「賢い」というのも特徴のようです。例えば、誤って脱走させてしまい捕獲する時にも、こちらを嘲るように逃げ回るとか。これはトッケイに限らずカベチョロ系ヤモリ全般に言えることなのですが。
また、その荒い性格から手に持ったりできないのが普通なのですが、方々で耳にするのが「ハンドリング(手に持つこと)ができるトッケイ」というのがあります。どうやら、こちらに敵意がないと理解することができたならば、信頼して身を任せるくらいの知能はあるのではないかと思ってしまいます。
このような性格が、トッケイ飼育の魅力なのでしょう。