私見
ここからは、私見というか私の本音を。もちろん法律を勉強している人間ではありませんので不勉強と無知の考え方ではありますが、また「法律を守る義務を負っている」一国民としての考え方でもあります。法律を守らなければいけないのは当たり前です。しかしこの改正動物愛護法に関して、私たち両爬飼育愛好家が負わされるモノはあまりにも納得がいかない事が多いでしょう。特に両爬飼育での美徳である「CB化の推進」に対する強烈な逆風になることは否定できません。年に数回程度のブリーダーズイベントに参加することを夢見て、細々と繁殖を目標にしている飼育者はモチベーションを削がれます。そんな人たちのことを考えると、今回の法律は「はい、そうですか」と簡単に納得できるものではありません。
今回の改正のポイントである動物取扱業の登録に関しては、極端に言えばゴールデンレトリバーをブリーディングするのも、体長6cmのキノボリヤモリを飼育下で繁殖させるのも同じように考えろ、と言われているわけです。
もちろん生き物の種類による生命の尊さや重さに違いはありません。しかし「飼い方」には違いがあります。そういう側面を、あまりにも考慮していない法律であると言えます。
問題の原因を愚痴るならば、今回の改正の根本にある「視野の狭い動物愛護の精神」についてです。
イヌ・ネコに限らず、鳥や小動物系の飼育愛好家と両爬飼育愛好家の最大の温度差は「一般飼育者の繁殖の是非」です。特にイヌ・ネコ系の愛護関係は「一般飼育者の繁殖」に関しては否定的です。さらに利益第一のスタンスのブリーダーに対して規制できることも、今回の改正がなされた目的と言っても間違いではないでしょう。
ある意味、両爬飼育者は
・イヌ・ネコの飼育 |
↓ |
・繁殖 |
↓ |
・余剰個体の増加 |
↓ |
・遺棄、虐待、不適切管理などの問題 |
という「動物愛護の精神」が胸を痛める状況に巻き込まれた、というのが本音です。
しかし、感情論をあえて無視して考えれば、イヌ・ネコ系で「一般飼育者の繁殖」が否定される理由は、単純に「イヌやネコは一頭当たりの飼育の手間が大きいから、殖えたら飼い続けられない」ことでしょう。だから捨てられてしまうんだし、商品にならない個体は虐待じみた扱いをされてしまうのでしょう。
でもヘビやトカゲは殖えても飼い続けられますもん。
爬虫類をイヌ・ネコと一緒にするな、というのが私の本音です。だいたい、今回の改正に一番真面目に、真剣に頭を悩んでいるのは、もっともマイノリティである一般の爬虫類飼育者であって、絶対にイヌ・ネコの一般飼育者とか鳥の飼育愛好者の大多数とかは、これからどうしようかと悩んでいるとかってないと思います。だって、みんな知らないもの。ま、それ以前に一般飼育者がブリーダーとなって販売する機会そのものがないんでしょうけど。
じゃあ、どうする?
とは言っても、私自身は両爬飼育に限らず生き物を飼育するという趣味に、法律レベルでのルール作りとそれを遵守することには大賛成です。学校の教員という職業柄なのかもしれませんが、限られたルールがあるからこそ、その中でいかに楽しみを見出していく事ができるか、というのをいつも考えています。
今回の法改正による登録制も、モチベーションを下げて投げやりになる前に、とにかくまず保健所に行って相談をしてみてはいかがでしょう。少なくとも私は、そうすることで一筋の光明が見えたように感じました。もちろん地域によって、対応に差があることは否定できませんが。
それから、本当に自分は動物取扱業の登録をしておかなければならない飼育スタイルなのか、も改めて考えてみることも必要でしょう。爬虫類飼育者全員がブリーダーを生業とする必要があるかどうかはわかりません。目標をしっかり持ってブリーディングをしていく時代になったとも言えるかもしれません。
もちろん改正法の問題点を次回の改正の時に解決させることも目標にすべきだと思います。そのためには、私たち飼育者が正々堂々と意見を言えるようにするために今回の法律をしっかりと守って、昨今に起こってしまっているような両爬飼育界の悪い出来事が二度と起きないようにする必要があります。それはもちろん私を含めてです。
私の知人が、今回の事を受けて次のような話をしていました。
「爬虫類の飼育がしにくい世の中になった。まるで昭和40年代に逆戻りしたようだ。でも、昭和40年代にも、今のレベルで飼育を楽しんでいた人はいたはず。やりにくいなりにも、続けていきたいモチベーションの高い人が生き残ってほしい。」
この話を聞いて、私が思い出したのは、別の知人から以前聞いた言葉です。
「最近はどんな爬虫類も流通されているので、なんだか夢とか目標が持ちにくい。」
もう一回、爬虫類飼育愛好家みんなで、一から「夢」を見ることができるチャンスが与えられたのかもしれません。
そうやって前向きに考えていきましょう。
<参考サイト>
動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律についてfrom 環境省
S'hei's Homepage
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<ガイド記事>
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動愛法はペット業界を変えられるか? from All About「犬」