エリマキトカゲの基本情報
写真はパース動物園の展示個体 撮影:小菅明彦
学 名:Chlamydosaurus kingii別 名:-英 名:Frill-necked lizard分 布:オーストラリア北部、ニューギニア南部全長:60~90cm
もうずっと昔に流行ったはずなのに、なぜか今でも日本でもっとも有名なトカゲであります。またオーストラリアでも硬貨のデザインに使われたりして、まさに「国爬」的な扱いで圧倒的に有名なのです。
要するに巨大なキノボリトカゲなのですが、首の回りにエリ巻き状の飾りが最大の特徴です。これは外敵などに襲われた時の威嚇に使うのですが、飼育下ではなかなか見ることはできません。またこの「エリ巻き」は体温の調節にも使われていると考えられています。
オーストラリアの個体群とニューギニアの個体群は亜種等に分けられているわけではありませんが、「エリ巻き」の大きさなど若干の形態の差があるようです。またオーストラリアの個体群も北部の個体群は地色が明るく、東部のクインズランド州の個体群はやや地味な色彩が多いようです。
あまり乾燥した場所には見られず、森林のような環境を好み、樹上で生活しています。地面にも下りてきますが、この時に身の危険を感じると木に登ります。登れる木が近くにないと、テレビでも有名になった後ろ足だけで立って走って逃げます。それでも追いつめられると「エリ巻き」を広げて威嚇をし、それでもダメなら尻尾で攻撃したり咬みついたりして身を守ります。
基本的に食性は肉食が強い雑食性です。自然下では昆虫やトカゲ、ヘビなどを食べていますが植物も食べているようです。9月に交尾を行い、11月に12~16個の卵を産みます。卵径は28×20mm程度で5.3g前後の質量です。3ヶ月後の2月に12~15cmの子が孵化します。
日本にはニューギニア産の個体が比較的コンスタントに流通しますが、他の樹上性アガマと同じように飼育下ではあまり活動的でない上にやや飼育も難しいことから爬虫類飼育者の間では、あまり人気は高くないトカゲです。私が子供の時に日本で爆発的な人気になり、流行で数多くの個体が輸入され完全に見せ物になって死んでいったという悲しい過去もあります。だから、なんとなく私もショップなどで見てしまうと切ない気分になってしまうんですよね。とにかくオーストラリアの自然の中で本当の彼らの姿を見たいと思っています。
写真の個体は「エリ巻き」を広げていないので、ちょっと寂しい感じに見えるかもしれませんが、よく見るととても凛々しい感じに見えてあらためてこのトカゲの魅力を感じることができるのではないかと思います。もちろん、オーストラリアに行って絶対にエリを広げた写真を撮って、ここに掲載しますからね!というわけで正真正銘、オーストラリアはクイーンズランド州で撮影されたホヤホヤのエリマキ写真です。見て下さい!このでかいフリルを!これぞオーストラリア産!!
エリマキトカゲの飼育方法
飼育容器90~120cmクラス以上の水槽、自作の木製ケージなど。側面を金網張りなどにして通気を確保する。
温度
基本の温度を25~30℃としてホットスポット部は35℃程度にする
照明
紫外線灯とバスキングランプが必要だがあまり強い光は好まない
床材
ヤシガラ土など保湿性があるものを厚めに敷く
容器内レイアウト
登り木になるような木の枝を配するが少なめでよい。観葉植物なども入れる。水入れはそのままでは飲まないのでエアレーションやドリップ式などの工夫をする。
餌
昆虫類やピンクマウスなど
基本的な世話
樹上性トカゲの飼育に準ずる
- 幼体は低温と水切れに弱い
- 一日に一回容器内の湿度の保持と脱皮不全防止のため体にかかるように軽く霧吹きを行う
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