爬虫類・両生類/両生類・爬虫類関連情報

増加する遺棄・脱走・保護事案!(前編)(2ページ目)

一体どうしてしまったんでしょうか?この二ヶ月間で世の中をお騒がせしてしまった多くの両爬たち。何か特別な背景でもあるのでしょうか?

執筆者:星野 一三雄

星野的考察

もちろんこのような「遺棄・脱走・保護」騒動の原因は100%飼育者のモラルの欠如と不注意にあります。しかし、今回の騒動の特徴である

・ボールパイソンが多い
・時期が集中している


の二点は、それだけでは説明がつきません。
ここでは、あくまでも「憶測」と「想像」の範囲であることを先にお断りしてから、私が考える今回の騒動の原因を挙げてみます。繰り返しますが、「憶測」と「想像」ですから。

1.ニュースの連鎖性
今までも、ボールパイソンが脱走している、という出来事はきっとあったんだと思います。ところが今回はスタートがいけませんでした。
つまり新宿でのボールパイソン不明事件のインパクトによって、ボールパイソンが世間一般に注目を浴びてしまって、もしかしたら今までは「でっかい変なヘビがいた」だけで終わってニュースにならなかったことが「このヘビ、ボールパイソンじゃね?」と想像力がはたらいて通報されやすくなった、のではないでしょうか。

何より新宿の例では「ニシキヘビを散歩に出して、酒を飲んで寝てしまい、その間に逃げられた」さらに警察に引き取りに行ったら「この『なつき方』は間違いなく自分の」と。これだけネタがあれば、このニュースを見ている一般の方が眉をひそめている様子を容易に想像できます。私たち一般のヘビ飼育者から見れば、NG項目ばかりのニュースなんですけど。

2.ボールとコーンの違い
実は、今年の春にコーンスネークが山にいた、という出来事に出くわしました。無事に捕獲されたのですが。またニュースにもなっていますがカリキンも保護されたニュースがありました。
このようにボールだけでなくナミヘビの仲間だって同じくらい、いやもしかするとそれ以上に「遺棄・脱走」の例ってあるのではないかと思います。
ただ圧倒的にボールの方が発見されやすいのではないかと私は考えます。

コーンにしたってカリキンにしたってナミヘビというのはいざとなれば、かなり素早く動きます。ですから発見されてもすぐに逃げられたり「見たことがないきれいな赤いヘビがいた」とかで終わってしまうのではないでしょうか。ところがボールパイソンをはじめボア・パイソンの仲間は比較的ゆったりとした動きです。その分、通報されてから多少時間がたっても捕獲される率が高くなるような気がします。

3.ボールのパワー
これは機会をあらためて書こうと思っているのですが、ボールに限らずヘビたちの脱走に対するエネルギーの強さというものを過小評価している飼育者は多いような気がします。
偉そうに言っている私だって、過去に何度も脱走の憂き目に遭いましたが、その多くはヘビのパワーに対する認識不足が原因でした。
1mに満たないナミヘビでもスタンダードサイズのフラットプラケのガッチリ閉まったフタをこじ開けて脱走できます。私はアカマタでこれをやられたことがあります。

ましてやパワフルなボア・パイソンならばなおさらでしょう。普段はおとなしく優雅にゆったりと行動していますので、侮りがちです。
また以前記事に書いたように、最近は安いプラケが大量に販売されています。このようなプラケはフタの部分が甘い場合があり、とてもではありませんがヘビの飼育には向いていないことが多いです。

何にしても、今回のことでボールパイソンが注目されてしまったことが悪い結果に結びつかないことを祈ってやみません。
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