先月から復活した「はじめての○○飼育」の第9弾であります。前回のリクガメに引き続き、今回も無謀にも私が未体験のグループがテーマです。そう「跳ねる宝石・ヤドクガエル」であります。もちろん、私一人の力では、記事など書けませんので、今回もまた詳しい方のお力をお借りして、というか完全に頼り切っての内容になっておりますのでご安心を。今回も、やっぱり長くなってしまいましたので2回に分けてお送りいたします。
いかにも毒々しいDendrobates leucomelas写真:幻想熱帯雨林 |
ヤドクガエルの基礎知識
これまで多くの雑誌などでヤドクの基礎的な情報は書かれていますし、ネット上でも見つけることはできますが「両爬の情報はAAJからしか得ていない」などという奇特な方達のために、ちょっとだけ。ヤドクガエルは中南米の熱帯雨林に分布する小さなカエルたち「ヤドクガエル科Dendrobatidae」の仲間たちです。科全体では200種以上が記載されていますが、分類自体がまだまだ進んでいませんので、新しい種も出てくる可能性があります。
そもそもヤドクガエル、漢字で書けば「矢毒蛙」というものものしい名前の由来は、よく知られているように、原住民が狩猟用の「吹き矢」に塗る毒をこのカエルたちの分泌物からとったから、と言われています。ただし、実際にはフキヤガエル属Phyllobatesの種類には、強い毒が知られていますが、ヤドクガエル科全体では、そこまで強い毒を持った種類は少ないようです。
猛毒を持つPhyllobates bicolor写真:幻想熱帯雨林 |
その特徴はといえばズバリ「自然のものとは思えない美しく鮮やかな体色」でしょう。緑、黄色は当たり前、紅とも呼べるような赤いカエルもいれば、自然の脊椎動物では珍しいコバルトブルーの種類までいます。
ほとんどの種は熱帯雨林の地上で生活しています。特に現地では森林の奥深くではなく、日当たりが良く、植物がよく生育しているような林縁部でよく見られるようです。
青が美しいDendrobates tinctoprius写真:幻想熱帯雨林 |
よく知られている、ちょっと変わった繁殖生態エッグフィーディング、つまりメスが孵化したオタマジャクシに無精卵を餌として与えて育てる、というのがあります。これはヤドクガエルはみんな行うと勘違いしている方もいるようですが一部の種類であり、少なくとも一般に流通している種類には多くはありません。逆に、ヤドクでなくともエッグフィーディングを行うカエルは知られていて、八重山諸島のアイフィンガーガエルはその代表ともいえるでしょう。
エッグフィーダー種Dendrobates pumilio写真:幻想熱帯雨林 |