さて昼間のうちにカメがいそうな場所はチェックしていましたので、その町には夕方前に到着しました。時間つぶしに町をぶらぶらしていると、いわゆる観光案内の事務所を発見。
試しに入ってみると、壁にヘビやらトカゲやらカエルやらのポスターが貼られていることに気づきました。ちょっと期待して、事務所にいたおば…失礼、ご夫人に
「この辺でヘビは見られますか?このポスターにあるようなヘビが見たいんですが。」
と言ったつもりのカタコトの英語で聞きます。
「この手のヘビは結構、ここら辺では一般的なヘビですよ。ただ、タイパンには注意して下さいね。タイパンは『dangerous snake』どころか『deadly snake』ですから。咬まれたら『easy to die』ですよ。」
怖いような楽しみなような言葉を頼りに、夜に最後のヘビ探しをすることを決意しました。
◇ゴキブリとカメの町
ところでこの町には小さなペットショップがありました。よく考えてみたら、オーストラリアとはいえペットショップはあるんです。
で、ちょっと中に入って、どんな生き物が売っているのか覗いてみました。
基本的には鳥や小動物なのですが、観賞魚もかなり多く扱っています。基本的には日本で売っている一般的な熱帯魚ばかりですが、興味深かったのは「金魚」がとても多く売られていたことです。特にリュウキンやシシガシラのたぐいが目に付きました。ところが、店の奥のほうを覗いてみると、何やら怪しげなプラケが...こういうのこそ食指がそそられるってもんです。なんとそこには世界最大のゴキブリ「ヨロイモグラゴキブリ」が!!
これこそ日本のゴキブリマニア垂涎の種であります。しかも日本では数万円以上は下りません。で、ここではいくらで売っているのかと、聞いてみたところ...すいません。言われません。さすが地元。
◇公園のトカゲたち
さて、陽の高いうちにカメを何とかしようと、ポイントである公園に行ってみます。
目をつけていた池には、やはり、時おりカメが水面に姿を現します。
では、網で捕獲するか、と考えたのですが、さすが公園だけあって、人の目がかなり気になります。これは人の目がなくなるまで待とうということになりました。
その間に、何かいないかと公園内を散策すると、さすがオーストラリア。大物はいませんが、ちょっとした木陰に行けば、小さなトカゲがうろちょろしています。
特に興味深かったのがウォータースキンクの一種です。見た目は単なるマブヤですが、逃げるときに、本当に水の中に飛び込むことに感動。
ところが、ふと目を水面に覆いかぶさっている木の方にやると、なんとそこには大きなヒガシウォータードラゴンがじっとしているではありませんか。
これぞウォータードラゴンという御姿・突き落としたわけではありません |
初日にウォータードラゴンには出会いましたが、すぐに逃げられてしまう有様であったわれわれは、こんな身近なところで彼らに出会えたことに感謝しました。しかもよく探せばそこら中にいます。捕獲はできませんでしたが、バシバシ写真だけは撮りまくって、最後にこんな大物にたくさん出会えた感慨にふけりました。
けっこうカッコイイし、キレイ |
日も暮れかかって町の郊外へヘビ探しに出ますが、残念ながら最後のヘビ探しも空振りに終わってしまいました。特に、ジャングルカーペットなどは、オーストラリアのこの周辺に分布しているはずなのですが、まったく出会うことができませんでした。日本ではずいぶんと値が安くなってきましたが、やっぱりもっと高価でいいのでは?という考えも頭をよぎります。
◇曲頸ゲット!!
いよいよ公園の人たちもいなくなって、堂々とカメ探しができるようになりました。
暗くはなってきましたが、まだ何とか頑張れば捕獲の可能性がありそうでした。
暗いので、足元に注意をして浅いところにカメがいないか探しました。
十数分探して、なんとかようやく手の届きそうな場所でのんびりしているカメを発見。
苦労して捕獲してみたそのカメは甲長20cm近くある大物。曲頸にはあまり詳しくないのですが、友人の言うにはクレフトヨコクビEmydura krefftiという種類。日本ではたまに入荷される程度の、どちらかと言えば日本の流通シーンでは珍しい種類。これもバシバシ写真を撮ってリリース。
カメその1・うそです。クレフトマゲクビです |
他にもいないかと探しますが、やはり夜、カメは寝ているようです。
ところが、これまた手の届きそうな浅い場所にカメを発見。先ほどのクレフトよりは一回り小さいのですが、これも頑張って捕獲。私には「きったねーカメ」なのですが、友人は愕然。
「こりゃ、日本にはほとんど入ってこないノコヘリカブトガメElseya latisternumですよ!!」
ゴメン。勉強不足の私には価値がわかりませんでした。
カメその2・ノコヘリカブトガメです |
何にしても珍しいのならば写真は撮っておきましょう。撮影のためにあちこちいじりまわしていると、突然、件のカメは英名通りSnapping Turtleに早変わり。ガンガン咬みついて来ます。ま、こんな経験はしたくてもできないだろうから、とそれもまた楽しませてもらいました。
最後に、カメの比較的大物を手にすることができた私たちは、潔くこのカメでオーストラリアのフィールディングの幕を閉じました。
ホテルに戻った私は、今回の成果を頭の中で回顧しつつ、なんちゃらいうオーストラリアのビールをあおってベッドにもぐりました。