爬虫類・両生類/ヘビの飼い方

蛇が冬眠するときの成功の秘訣とは!時期や場所、温度などのポイント

蛇の冬眠に適した時期や場所、温度、冬眠明けのポイントなどをお伝えします。両爬の中でも、特に蛇は比較的容易に繁殖を楽しむことができます。しかしながら温帯性の種の場合は「冬眠」が繁殖の最大のキーになります。蛇の冬眠における成功の秘訣とは?

執筆者:星野 一三雄

蛇が冬眠するときの成功の秘訣とは!時期や場所、温度などのポイント

蛇の冬眠を成功させるためにできること


全国の温帯性両爬ファンの皆さんコンニチハ!

「来るべき冬をどう乗り切るか?『保温』?それとも『冬眠』?」

もちろん、保温して冬も夏場と同じように飼育していく方法もアリですが、温帯性種では冬に「冬眠」や「低温処理」をすることが翌春の「繁殖」の成功の鍵を握っている場合が多いのです。

そこで今回は私の、大切な友人であり、数多くいる飼育の師匠の一人であるKさんに「温帯性ヘビの繁殖」に関して、特に「冬眠の重要性」をご教授頂きましたので、それをご紹介したいと思います。
 
<目次>
   

蛇の冬眠、成功の秘訣に迫る

私は、少なくともネット上でKさんほどの「温帯性ヘビ」の飼育繁殖に長けた方を知りません。Kさんは某ペット用品メーカーに勤めておられるのですが、これまでにカリキン、コーンはもちろんアジアのスーパー飼育難易種の飼育繁殖に成功している、まさに達人です。
 
スジメアオナメラの産卵

今まで成功したヘビの名前を挙げればキリがありません。タカサゴナメラ、ベニナメラ、ツマベニナメラ、シュウダ、各種スジオなど。しかも最近では遂にアジアの超美麗種ケーブラットことマレースジオの繁殖にまで成功したのです!もちろん、国産でもアオダイショウやシマヘビなども成功させています。
マレースジオの孵化


そんなKさんの成功の秘訣の一つは「生息地まで足を運んでいる」ところでしょう。そのヘビの棲む土地の「空気」を「水」を「光」を自分で感じ取って飼育に活かすことは、少なくとも飼育にマイナスではないはずです。
そんなKさんは言います。
「中途半端に温度が高いとヘビが冬眠できずに、体力を消耗してしまいます。ビビって(温度を)下げれない人。だめです。」
 

蛇の冬眠、準備開始の時期や温度設定は?

暖かい時期のヘビの飼育は基本的な方法を忠実に。特に冬眠前の今の時期は、しっかり栄養を蓄えさせるために餌はちょっと多めにした方がよいでしょう。ただし、この時期は朝夕の気温が思った以上に低くなる場合もあるかもしれませんので、消化不良を起こさないように注意しましょう。給餌をしたら、それが糞として排泄されたのを確認してから、次の給餌をしましょう。
冬眠中は、消化機能も低下しますので、腹の中を空にしてから冬眠させなければいけません。本格的な冬眠の半月から一ヶ月前に給餌を停止します。

冬眠をさせるときは、できる限り生息地の温度変化を知っておくといいでしょう。ただヘビは、温度変化の少ない土の中で冬眠をしますので、現実的には生息地の冬眠している場所での温度変化を知るのは不可能に近いです。
おおむね、飼育下での冬眠は5から10℃くらいが適温と考えて良いと思われます。
ただし適温はヘビの種類などによって変わってきますので、冬眠中のヘビの様子などを見て決めます。一番いけないのは18℃とかの中途半端な温度で冬眠させることです。この温度ではヘビが冬眠できずに体力を消耗してしまいます。ビビって、(温度を)下げれない人。だめです。
 

蛇の冬眠に適した場所は、日が当たらない場所

また冬眠の基本ではありますが一日の温度変化のない場所に冬眠用のケージは置きましょう。一軒家なら納屋がベスト。どんなに寒くても納屋には暖房は入れないでしょうから。
難しいのはマンションです。狭い上に気密性が高く、玄関などでも、暖房の影響が出やすいし、風呂場も近くにあったりするのでケージの置き場所に悩みます。良い場所は、ベランダの日陰、玄関前の廊下などの日があたらない場所です。
 
押入の中で保温・照明をして冬眠させる

外が寒すぎる場合は観賞魚用のサーモスタットとヒーターをつけて保温するといいでしょう。ただし電子サーモでは最低設定温度が15℃ですから、旧き良きバイメタル式の方が便利です。保温が無理なら、発泡スチロールの箱に入れたりして少しでも変化の無いように
心がけるようにします。さらに最高最低温度を測れることができる温度計で絶えずチェックすれば完璧です。

ん?面倒ですか?ここが「他の人が殖やすことができないヘビを殖やす人」と「そうでない人」の違いなんでしょうね。きっと。

 

蛇の冬眠明けのポイント

さて冬眠後に、いよいよ繁殖を狙うためのポイントはなんでしょう。以下に箇条書きで紹介いたします。
・3から4ヶ月間を目安にしっかりと寝かす。
・起こすときに日照時間をイメージして、徐々に照明時間を長くする。
・冬眠後は徐々に給餌量を増やして多くする。
・交尾は冬眠明け1から2ヶ月を目安に行われる。
・雌雄とも発情のタイミングを合わせるために、なるべく多くの種親を用意する。
・発情している個体は雌雄をあわせると、小刻みに体を震わせる行動をとります。
・交尾行動は必ず確認をする。雌雄をあわせて1時間くらいしても交尾をしなかったら放して別の機会に再チャレンジをする。
・何回もあきらめずにチャレンジする。
 
マレースジオの交尾!!
種によって繁殖の条件は異なりますが後は応用です。繁殖に初チャレンジする方はコーンスネークやカリフォルニアキングスネーク等の繁殖の容易な種から始めると、繁殖の感覚をつかみ易いと思います。特に温帯性ヘビのWC個体はマニュアル通りには行かない場合が多いのだそうですが、飼育の基本をしっかりと守って、観察を続け、あきらめずにチャレンジをし続けることが重要なようです。

やっぱり「飼育の基本を押さえること」「観察を怠らないこと」の積み重ねが、貴重な種類の飼育と繁殖成功につながっていくのですね。



寒くて、厳しい「冬がある」。
そして、そんな「冬」を乗り越えているからこそ、何か緊張感や野生の魅力が彼らにはあるのかもしれません。
豊かで厳しい四季の変化の中を生きている温帯性ヘビをはじめとした両爬たち。新しい魅力が発見できそうですね。
 
ベニナメラの孵化

 

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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