カエルの魅力とは?
カエルの魅力
カエルの仲間たち
現在、飼育対象として愛好されているカエルは概ね5グループほどに分類されます。一つは「ツリーフロッグの仲間」つまり「樹上性」のカエルたちです。日本でもアマガエルやモリアオガエルがおなじみです。また、外国産ではオーソドックスなイエアメガエルとかアカメアマガエル、最近話題のソバージュネコメアマガエルなんかもツリーフロッグです。器用に手を使った仕草や、上手に木の枝や葉の上にくっついている姿が魅力的です。
次は圧倒的な美しさで、まさに「生きた宝石」と呼ぶにふさわしい「ヤドクガエルの仲間」です。表皮から強い毒を分泌するため現地では「吹き矢」にその毒を使っていたことから、「ヤドク(矢毒)」です。警戒色の意味もあるのでしょうかコバルトブルーにライムグリーン、ルビーのようなレッドと実にカラフルです。ジャングルの林床をイメージしたレイアウトで楽しめる、まさにある意味「盆栽」などの「箱庭」あるいは流行りの「ビオトープ」のような飼育ができるのも魅力です。ただし...高い!!
3番目は、完全に水中で生活する「水生ガエルの仲間」たちです。陸に上がることがなくすべての生活を水中で行ないます。ピパやツメガエルなどがこの仲間です。圧倒的な遊泳力はケージである水槽の容量の多さを要求しますが、アクアリウム感覚(と言うかそのものですが)で飼育できるのが魅力でしょう。
4番目は、いかにもカエルっぽい「半水生カエル」たちです。以前から人気があるベルツノガエルもこの仲間にしてもよいでしょう。流通量が多いためか、お気に入りの色彩の個体を選べるのも楽しいし、ペット的な感覚で飼育できるのも魅力でしょうか。
最後は、最近急激に人気が出てきた「ジムグリガエルの仲間」です。乾燥系のカエルや名前通り土の中に潜る習性からか、丸っこいフォルムがかわいさを引き立てているようです。その究極とも言えそうなのが話題のフクラガエルです。ようやく飼育方法がはっきりしたからでしょう、現在大人気のカエルの一つです。
魅力は「見た目」
カエルの魅力は何と言っても、そのルックスつまり「見た目」でしょう。アオガエルのグリーンは爽やかな感じですし、ヤドクたちの品のいい極彩色は他の両爬では楽しめない魅力です。しかし、私はカエルのルックスの魅力は別のところにあると思っています。それは「姿勢」と「表情」です。
両手をついて謝っているような格好も、滑稽でかわいいのですが、私はむしろ背筋をシャキっと伸ばして堂々と胸を張っている姿勢に魅力を感じます。ふだんヤモリやヘビのようにシークレッティブな種類やカメのようにシャイな生き物たちを見ていると、カエルたちの背筋を伸ばして斜め前方を凝視している姿は実に自信に満ち溢れていて、両爬の魅力を改めて気付かせてくれます。
また、カエルは他の両爬たちに比べ「表情が豊か」に思えます。餌や水を与えれば喜んでいるように思えますし、ケージ内が汚いと、無言ではあるのですが、目で訴えているようにも思えます。私の友人はオキナワアオガエルたちに「ソクラテス」などの「哲人」の名前をつけているのですが、なるほど彼らの表情は常に何か思索にふけっているようにも感じられます。何よりも、飼育をうまくしていくためには彼らの表情をよく観察するのは大切なことです。私も彼らの「表情」を読み取るようになってから、ようやくカエル(に限らないのですが)をうまく飼育できるようになってきました。
耳でも楽しもう!
カエル飼育のもう一つの楽しみは「鳴き声」でしょう。一部の壁チョロ系ヤモリなども鳴きますが、カエルの声には敵いません。日本でも古くから「河鹿籠」などで楽しまれていたわけですから、鳴くカエルはきれいな声で鳴かせたいですよね。
当然、いい環境で飼ってあげればご機嫌もよくなるわけですから、いい声で鳴いてくれることでしょう。アマガエルみたいにうるさいくらいの声のカエルもいれば、ヤドクが飼育下で繁殖させた個体が小さな声でも鳴いてくれたりする喜び、これもカエル飼育ならではの魅力です。
魅力を堪能するために
前述しましたが、カエルはその生態がさまざまです。ですから飼育のポイントもいろいろです。ですから、一概に「カエル飼育のポイントは、こう!」みたいには言えませんが、要はカエルがリラックスできて「思わず鳴きたくなってしまう」ような環境を作ることでしょう。カエルに限らず両爬の求める、そしてリラックスできる環境というのはたいていは「人間の視界の外」になれる環境でしょう。つまり「飼育者からは見えにくい」環境です。
でも、それでは飼育していてもおもしろくないし、観察が行き届かなくなってしまいますよね。人間とカエルの希望がぎりぎり合致する環境を探って、そういう環境を維持する事が飼育の上では大切でしょう。
たとえば、そういう点では先述の日本古来のカジカガエルの飼育法「河鹿籠」は優れています。水盤やバットのように浅い容器に砂利や石を積み上げて、浅く水を張りカゴをかぶせるわけですが、通気もいいし石があるのでカエルは安心する、それでいて水も換えやすく病気なども見つけやすい。実に合理的な飼育法であると言えるでしょう。なるほど、これならばカエルもご機嫌できれいな声で鳴いてくれるはずです。
恵みの雨が理想の温度
一部の例外はありますが、カエルは基本的には湿度が大好きです。しかし、ここで注意したいのは「湿度の調節」です。常に多湿で蒸れているような環境というのはよくありません。ですから、ある程度大きめのカエルならば定期的に「霧吹き」と「じょうろ」で雨を降らせて空気と床材を湿らせてあげればいいでしょう。ただし、小型のカエルの場合はうっかり乾燥させたりすると、あっという間に干上がってしまいますので注意が必要です。床材を湿らせるときには「水はけ」を考慮します。ケージの床面に穴を開けて水抜きをする飼育者も多いようです。穴から床材が出てしまわぬようにミズゴケを敷いてから床材を敷くと良さそうです。
私はカエルの飼育が下手っぴなので、今回の飼育のポイントはカエル飼育に詳しい方からアドバイスをいただきました。それでも私はカエルが大好きです。カエルの魅力って、きっと「そこにカエルがいる」って言う存在感なのかもしれませんね。
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