なぜ、この時期に!?
盟主が仕掛けるプラズマテレビの逆襲
パナソニックは2月3日に同社薄型テレビ“ビエラ”の大幅な刷新と新製品の追加を行いました。1月に中小型画面のX、Cシリーズを追加したのに続いての製品の拡充です。2月5日に東京国際フォーラムで催された新ビエラ発表会。3シリーズ全13機種が並んで壮観 |
薄型テレビの世界は一般的に春と秋の二毛作ですので、パナソニックの新製品攻勢は異例といえます。その背景には世界経済不況の影響でずっと産業の牽引車だった薄型テレビの需要が目立って鈍化を始め、メーカー間の生き残りの競争が激しくなった今、プラズマ方式の盟主として大攻勢を迫られた事情があります。
パナソニックは昨年度にテレビ事業が黒字であった国内二社の一角ですが、昨年来の世界経済危機の煽りで、同社とて今や安閑としていられません。市場の中身を覗いても、液晶陣営のシャープ、ソニーは昨秋にラインナップの水平展開を大幅に充実し、画質面でも着実に進歩を続けています。
プラズマの盟主であるパナソニックは、パイオニアとプラズマパネルを生産統合し同社向けにパネルを供給する予定でしたが、パイオニアのテレビ事業全面撤退という残念な事態になりました。もう一社の大口需要家の日立もこの春には液晶方式の大幅な拡充が予想され、液晶方式に軸足を移していて、パナソニックは今やプラズマ陣営の面子を威信に担う立場にあります。
そこへきて、世界中が省資源ムード一色。消費電力が液晶方式に比べて大きいプラズマ方式には向かい風が吹いています。画面の明るさと、日常的な使い勝手で液晶方式に及ばないイメージを、薄型テレビが大衆化していく今、払拭しないといけません。
一方、フルハイビジョンの画質に関してプラズマ方式は一日の長がありましたが、液晶方式の近年の躍進で最早僅差となりました。こうした状況の下、パナソニックはプラズマ方式の威信を掛けて昨秋のCEATEC JAPANに出品した新世代のプラズマ方式「ネオ・プラズマパネル」への代替を急いだのではないでしょうか。
今回発表されたビエラのZ、V、Gの3シリーズはいずれもネオ・プラズマパネルを搭載、省電力性と画面の明るさ、画質に大幅な躍進を果たしました。同時に、従来画面サイズと機能、画質のグレードによる垂直展開だったのを改め、ソニーブラビア同様にライン毎に提案性を設ける水平展開になりました。
今回の3ラインの発売は、X、Cが3月1日、Zが4月20日で量産試作を見る機会に恵まれていませんので、製品発表会で見た印象の報告になりますが、取り急ぎ3シリーズの紹介をお届けしたいと思います。さて、ビエラの新シリーズは下記で構成されています。
■Zシリーズ(超薄型大画面)4月20日発売
TH-P54Z1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 70万円
TH-P50Z1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 60万円
TH-P46Z1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 55万円
■Vシリーズ(高画質高音質)3月1日発売
TH-P50V1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 40万円
TH-P46V1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 37万円
TH-P42V1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 30万円
TH-L37V1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョン液晶テレビ 予想実売価格 22万円
TH-L32V1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョン液晶テレビ 予想実売価格 20万円
■Gシリーズ(大画面ベーシック・シングルチューナー)3月1日発売
TH-P50G1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 35万円
TH-P46G1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 30万円
TH-P42G1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョンプラズマテレビ 予想実売価格 25万円
TH-L37G1 地上、BS、110度CSデジタルフルハイビジョン液晶テレビ 予想実売価格 20万円
TH-L32G1 地上、BS、110度CSデジタルハイビジョン液晶テレビ 予想実売価格 14万円
次のページでは、ネオ・プラズマパネルとプラズマ方式にして厚さ1インチ(2.47cm)の超薄型を達成したビエラZシリーズについて紹介いたします。