編集部内でもそんな話題が…。確かに、量をたくさん飲めればいいという若い頃ならともかく、苦労して手に入れた本当においしいお酒を前に、“料理をジャマしない”なんて、失礼です。むしろ、いいお酒を少し、そこに、いいつまみを少し。その方がお酒の味を楽しめるはずです。
そこで、今回は酒に合うつまみを探してきました。
酒をジャマせずに
もっとおいしくする酒の友
小浜の魚市場。競り人の声が響き、50~60人の仲卸らが魚を競り合う。 |
日本酒に一番あうものといえば、やはり魚介。もともと、サカナは、酒を飲むときに添えて食べるものとしての「酒菜」が「肴」になり、それに魚介をあてることが多かったことから、魚をサカナと呼ぶようになったほど。
そんな「さかな」を探し、辿り着いたのは、福井県・小浜。小浜は、京都に都があった頃、京の台所として隆盛を極めた場所。鯖を始めとする新鮮な海の幸が都へと運ばれ、若狭から京都へ続く道を『鯖街道』と呼んだ。
昔から、若狭では「京は遠ても十八里(約72?)」と言われていた。では、現代ほど輸送技術の発達していなかった頃、海の幸はどのように運ばれたのか。
ひと塩で引き出す
魚の旨味
小鯛を3枚におろす作業は、機械ではできない。細かい作業を長時間担当するのは、忍耐力のある女性が中心。 |
鯖や鯛など、新鮮な魚は、軽く塩を振られて都へ運ばれていた。それが、京都へ着くまでの一昼夜の間で、ちょうどいい塩加減となった。特に甘鯛は、生のままでは水っぽい魚だが、塩を降って身が締まると、旨味が出る。
「地元では旨いと思われていなかった『甘鯛』が、京都で珍重されたのは、“ひと塩”の魔法があったからなんです」と話すのは、『小浜海産物』の富田さん。
小鯛で作った絶品の「おつまみ」を次ページでご紹介します。