新潟といえばお米、と思い浮かぶ方も多いと思いますが、そんな米処・新潟で食する「本当に美味しいご飯」とは?
いつもは「外に出かける」美食の旅情報ばかりでしたが、たまには「お招きする」旅へとご案内したいと思います。ようこそ新潟!
羽釜で一気に炊き上げる
それが一番美味しい
建物は大正初めに建てられた。幕末には長岡藩の中枢人物、河井継之助が2階の座敷で昼食をとったという。 |
江戸中期から明治にかけて、湯殿川沿いの元町には、旅籠や料亭、茶屋が数多く建ち並んでいたという。江戸中期創業の『割烹 東忠(とうちゅう)』もその名残を見せる料亭のひとつ。
座敷では懐かしい羽釜(はがま)が登場し、目の前で点火される。時間はきっちり計られ、仲居さんが頃合いを告げる。蓋を開けると、ふぁーっと立ち昇る、ほのかに甘い湯気の香り……。
市場には流通しない!?
“特別な地域”で穫れた米
筍ご飯が炊き上がった。お焦げがなんとも香ばしい。夏は魚野川で獲れる天然鮎を、秋には松茸を炊き込むことも。白いご飯を頼むこともできる。 |
「魚沼産コシヒカリといっても、地域によって味が全然違うんです。私どもは、魚沼の中でも特別な地域の米だけを使っています」
そう話すのは10代目主人、東亮一さん。
“特別な地域”とは、大和町(現・南魚沼市)から小出町(現・魚沼市)にかけての、魚野川沿いに広がる水田。魚沼にはいくつかの“特別な地域”があるが、そこで収穫される米のほとんどは、地元や大都市の料亭に卸され、一般にはまず流通しない。
「浸水、炊飯、蒸らす時間の微妙な加減によって味が変わる。気が抜けませんね」
とは板長の声。米は作るほうも選ぶほうも、そして調理するほうも、真剣勝負なのである。
米処で穫れた米は何でも美味しい、というわけではない。調理の際のこの細やかな気遣いで、「本当に美味しいご飯」が贅沢に味わえる「割烹 東忠」。次のページで詳細データをご案内します。