地方の寺でも
侮れない由緒を持つ北向観音
北向観音堂は九世紀に慈覚大師円仁によって開創されました。円仁さんは、比叡山延暦寺の偉いお坊さん。つまりこちらは、信州の田舎にあっても、実はとても格式の高いお寺であるということです。風格ある北向観音の本堂。ご本尊は千手観音です |
その後、10世紀に平維茂が一山を修理したと伝えられます。12世紀に木曽義仲の戦乱により焼失し、源頼朝の命により復興、13世紀に塩田陸奥守北条氏により再々興され現在に至ります。
珍しい北を向いたお堂
こちらのお寺の手水は温泉で飲用もできます |
ちなみに、善光寺とこちらの北向観音は、二つともお参りして「両詣で」となります。南向きに建てられている善光寺に詣でて「未来往生」を、北向きに建てられてる北向観音にお参りし「現世利益」を願います。どちらかひとつだけでは片詣で。わたしは、今回は、ここに来る前の日にちゃんと善光寺にお参りしてきましたから、現世利益も未来往生もばっちりでもう安心なのです。
●善光寺参りの様子はこちらで詳しくレポートしました
手水は飲める温泉です
崖に建つ温泉薬師堂。病気を治してくれる仏様です |
観音堂の西側の崖の上に建てられた温泉薬師瑠璃殿にもご注目ください。崖の上に建つお堂としては有名なのは鳥取の三徳山三佛寺の投入堂ですが、それにちょっと似た感じの美しい建物です。
危険なためか登ってお参りはできませんが、こちらには、名前どおり、薬師如来が祀られています。薬師如来は病気を治してくれる仏様。つまり、こちらの温泉は薬師如来様と同じくらいに薬効があり、病気を治してくれるとされた、ということですね。
縁結びは愛染かつらで
愛染かつらは、樹齢300年の巨樹です |
もともとは川口松太郎さんの小説で、一説によると、川口さんは、この寺の境内にある樹齢300年のかつらの木をヒントにして「愛染かつら」の原作を書かれたとか。
そのためこの木は縁結びのご利益もあるとされ、男女でお参りに来る人も多いということです。
次のページは、美しい八角形の三重塔がある安楽寺です。わたしは長いことこの塔に憧れていて、やっと今回見ることができました。寺院建築ファン必見の魅力的な塔でした