優しいお顔の阿弥陀様

これは境内にある石の如来像。こちらもとてもよいお顔をなさっています
さて、仏像好きとしては、本堂に上げていただいたら、鵜の目鷹の目で、よい仏像を探さねばなりません。こちらでも、それは素晴らしい阿弥陀三尊像を発見! 阿弥陀如来とその脇待の観音菩薩、勢至菩薩です。

江戸時代のものだそうですが、とてもそうは見えない佇まいです。住職さんご自身もホームページ内で述べていらっしゃるように、もっと古い時代のもののように思われます。そうそう、定朝様式の、平安後期の阿弥陀様みたい。寡聞にして、このお寺にこんな素晴らしい仏像があることを知らなかったので、何だかすごく得した気分です。

仏像ウォッチングにはむろん基礎勉強が必要ですが、耳年間になりすぎると、こういう「発見気分」を味わう喜びがなくなるのでご注意ください。また、秘仏やめったに見られない仏像ばかりを追い求めるオタク化も避けたいところです。よい仏様との出会いは、ご縁に導かれた一期一会のものです。

こちらの阿弥陀様とは
ご縁があった?

大きな数珠を回してお参りします
住職さんのお話では、この阿弥陀三尊像は、もともとは、東京は両国にある回向院というお寺のご本尊だったそうです。その回向院は、江戸の三大大火のひとつである明暦の大火の際に亡くなった無縁の人々を供養するために建てられたお寺です。

明暦の大火は、またの名を振袖火事ともいい、実在の出来事にもかかわらず怪談めいた物語が伝わっています。しかし、話が長くなるので、その件はまたの機会にということで、ともかく、その回向院もわたしの好きな寺のひとつで、お江戸下町散歩などの際に、ふらりと立ち寄ることがあります。

●回向院と振袖火事については、拙著「お寺で遊ぶ 東京散歩」もご参照ください
●回向院のホームページはこちら

つげの木で作ったバチは、琵琶本体より高価です
今回は、箱根の温泉に泊まるついでに思いついて寄らせていただいたのですが、わたしの好きな京都の阿弥陀寺の兄弟寺だったり、回向院の阿弥陀様がいらしたりと、やっぱり、なんらかのご縁に導かれてここに来たんだなぁと、感慨深いものがありました。

「八十八ヶ所めぐり」や「三十三ヵ所めぐり」もいいけれど、わたしは、あらかじめ決められた寺をめぐるより、こんなふうに思いつきで行って、思わぬご縁を見つけるのが好きです。裏で自分の知らない何者かが、パズルを組み立ててくれているような気がして楽しいから。人生とは、このような偶然に見えるご縁の積み重ね。おかげさまで、琵琶も聴けたし、よい仏様にも出会って、極上の時間を持てました。

すっかり話が長くなりましたが、次のページは、このお寺にゆかりの深い皇女和宮についてです