ミイラになったお坊さん

木々に囲まれた本堂が見えました。いい雰囲気ですね。何となく京都の古知谷の阿弥陀寺に似ているなと思ったら、京都の阿弥陀寺とこちらの阿弥陀寺は、同じ名前なだけではなく、同じお坊さんによって開かれた兄弟寺なのだそうです。

●京都の阿弥陀寺の情報はこちら

そのお坊さんは弾誓上人(たんぜいしょうにん)と言って、修行のために諸国を遊歴した木食僧です。弾誓上人は、この寺のさらに上にある洞窟に六年間もこもって修行しました。その後京都にお帰りになり、小知谷の阿弥陀寺で即身仏(つまりミイラ仏)となって眠っていらっしゃいます。
山の上の別天地のような境内

ところで、その木食僧(もくじきそう)とは、肉はおろか穀物さえ絶ち、煮炊きしない生の木の実や山菜だけを食べるという厳しい修行をしながら諸国をめぐる僧の総称です。仏像に詳しい方なら、「ああ、あの微笑の木喰仏をたくさん彫った放浪の仏師のことね」と思い出されるでしょうが、木食僧は、有名な仏師の木喰さん以外に何人もいます。(仏師の木喰さんの場合は「喰」という字を使い、一般的に木食僧という場合は、「食」の字を使うことが多いようです)

●京都の亀岡の清源寺に、その木喰上人が造った微笑の仏様がたくさんあります。お勧め!

抹茶と羊羹と琵琶の音と

琵琶を弾く住職さん。深く美しい音色です
まあ、そういう難しい話はさておき、こちらは、よくある「境内散策は自由、しかし内部拝観はできません」というお寺とは違い、実にあたたかく本堂に迎え入れ、「登ってきて疲れたでしょう」と、抹茶とお菓子(500円)も出してくださいました。

そしてもっと素晴らしいことに、住職さんが、自ら琵琶を弾いて聞かせてくださいます。琵琶をじっくり聴く機会はこれまでほとんどありませんでしたが、間近で聴くと、とても深くて物悲しい響きがします。

まずは、琵琶と言ったらこれに決まりの「平家物語」。祇園精舎の鐘の音~という有名なフレーズの合間に、効果音として琵琶を弾きます。次は、義経の「勧進帳」。琵琶法師にまつわる物語として有名な「耳なし芳一」のお話も。琵琶を弾くだけでなく、物語を詠むので、声のよさも問われます。住職さんは、琵琶の名手なだけでなく、お声にもすごく張りがあります。


現実離れした美しい時間が、琵琶の音とともにゆっくり流れて行きました。

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