埼玉のチベット
秩父の楽しみ方
太陽寺の石仏。秩父には、このほかにもたくさんの石仏があり、民間信仰の歴史を物語っています |
農民歌舞伎や秩父夜祭を見に何度か通っていますが、今回の秩父行きの目的は、太陽寺という素敵な名前のお寺に泊まり、坐禅を組むことです。秩父は、札所めぐりの観音霊場をはじめとする、由緒の古い神社仏閣の宝庫でもあるのです。
今回は、6月の下旬に訪ねましたが、少し天気が悪かったこともあって、寒いくらいでした。もちろん真夏も冷房いらずとのこと。今年の夏は、涼しくて自然がいっぱいの秩父で、宿坊体験をしてみませんか?
チベットどころか
日本のマチュピチュだった
太陽寺の本堂。前は深い谷、背後は山です |
マチュピチュと言えば、ペルー山中の2,280m地点にある謎の空中都市。まさかと思いましたが、実際に行ってみると、確かにその雰囲気です。標高は800m。お堂の前は深い谷、背後はさらなる山です。見渡す限り人工物は何もなく、自然だらけ。ここは本当に埼玉?
なぜこんな高いところに
お寺を建てたのか?
坐禅をする禅堂の前は、山紫水明の世界です |
開山した仏国国師は、後嵯峨天皇の第三子という高貴なお生まれで、もともとは京都の方ですが、出家して何かと混乱の多い都を捨て、当時は今よりもさらに別世界で、人の住むところとは思われていなかった東国の山中に祠を建てて、修行三昧の生活を送られました。
天狗と間違われた
仏国国師
開山堂にある天狗のようなものは、実は、開祖の仏国国師です |
人々に天狗の住むところと恐れられた太陽寺ですが、江戸時代になると、山岳信仰の中心地として、大いに栄えることになります。そうした山岳信仰の山や寺は、昔は女人禁制のところが多かったのですが、太陽寺は女性もお参り可能だったので、「東国の女人高野」と呼ばれました。女人高野とは、女性が脚を踏み入れることができない高野山に対して、女性もお参りに行くことができた奈良の室生寺を指す言葉です。西国の女人高野は室生寺、東国の女人高野は太陽寺、というわけです。
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