美しい洋館の美術館

山荘風の洋館は、もともと住居として使われていました

加賀正太郎さんは、蘭の花の美しさを永遠に残すために、画家を雇って絵を描かせました。(写真提供 大山崎山荘美術館)
そのお宝寺のお隣に、現在はアサヒビールが経営する、「大山崎山荘美術館」があります。こちらは大阪の実業家であった加賀正太郎さんが、1911年から数年かけて建設した洋館と庭園が中心になっています。

加賀さんは西欧に遊学中に建築や庭園に感銘を受け、中でも蘭の花に魅せられて、邸宅内に温室を作り、当時日本ではまだ宝石のように貴重だった華麗な蘭を育てられたとか。加賀さんは、日本のガーデニングの先駆者でもあるのです。


森の中の洋館には、
日本を代表する陶芸家の作品が

洋館には日本の陶芸作品などが展示されています
シーズンごとに企画展もありますが、常設は、柳宗悦さんが推進した民芸運動に参加した芸術家の作品を中心としたパートと、モネの睡蓮などのヨーロッパの絵画、ジャコメッティなどの彫刻のパートに別れ、前者はもともとあった洋館内に、後者は安藤忠雄さんが設計した新館に展示されています。

柳宗悦さんは、大正時代から昭和にかけて活躍した思想家で、それまで美術品と見なされていなかった民衆の芸術(民芸)を評価し、世に知らしめた功績のある人です。柳さんが始めた民芸運動は数々の芸術家を生み出しました。

日本の誇る大版画家棟方志功さんも、柳さんを師と仰ぎました。また、イギリスからやってきたバーナード・リーチや濱田庄司、河井寛次郎など日本を代表する陶芸家も、この運動から育ちました。こちらの美術館では、それらの陶芸家の作品を見ることができます。ちなみにこれらは大半が、アサヒビールの初代社長も務められた山本爲三郎氏のコレクションです。昔の実業家さんたちは、アートやメセナ活動に対する後援も惜しまなかったようです。

民芸運動の代表的な陶芸家、河井寛次郎さんの作品(写真提供 大山崎山荘美術館)


●柳宗悦さんと民芸運動については日本民藝館のホームページもごらんください。


現代建築の新館は
自然の風景に配慮して建てられています

庭園にとけ込む細長い建物の下が新館のギャラリーです
新館を設計したのは、コンクリート打ちっぱなしの斬新な作風で知られる安藤忠雄さんです。しかし自然がいっぱいの天王山には無機質な建物は似合わない、ということで、安藤さんは新館を地下に建てられました。実際に庭園を歩いていても、この下にギャラリーがあるとは気がつかないほど風景に溶け込んだ建物です。

洋館の旧館とは通路で結ばれ、階段を下りていくと、地中の宝石箱と呼ばれる円形のギャラリーが。ここには日本文化と日本庭園を愛したモネの作品や、ジャコメッティの彫刻などがあります。モネの代表作、睡蓮を鑑賞するには、絶好の環境と言えますね。
モネの睡蓮。こちらの庭園にも、これに似た池があります。(写真提供 大山崎山荘美術館)


山荘と一体となった
庭園を散歩しよう

オープンカフェでは、ケーキだけでなく風景も楽しみ
今回訪れたのは、ちょうど狭間の季節でしたが、庭園には、シーズンごとの花が咲くそうです。新緑も美しいし、6月中ならアジサイも見ごろ。また、旧館の二階のベランダにあるオープンカフェや庭園内のレストハウスで優雅なティータイムも楽しめます。カフェでは、オレンジ風味のパウンドケーキがお勧め。

■アサヒビール大山崎山荘美術館
・所在地:京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
・交通・アクセス: JR 東海道本線山崎駅下車 徒歩10分
・地図:Yahoo!地図情報
・電話番号:075-957-3123 
・HPアサヒビール大山崎山荘美術館

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