温泉/温泉を楽しもう

今年の温泉ベスト10 <2008年 対談前編>(5ページ目)

今年の温泉ベスト10!日本を代表する温泉研究家、郡司勇(温泉レポート)と、藤田聡(日本の名湯)両ガイドによる、年末恒例の特別対談!互いの温泉観も含め、今年も奥深い対談となりました。温泉好き必見です!

藤田 聡

執筆者:藤田 聡

温泉ガイド

温泉ベスト10 藤田分四位 垂玉温泉 山口旅館

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垂玉温泉 山口旅館
湯口で素晴らしい硫黄臭を感知した、垂玉温泉 山口旅館 滝の湯。

<藤田> 第四位は垂玉温泉 山口旅館です。ここは二十年程前に一度行ったのですが、お湯の感触については、あまり記憶が無く、以前から再度行こうと思い続けていました。しかし、日帰り入浴が日中の数時間に限られるので、昼間にこの場所(南阿蘇)に居ると、他の有名温泉地の湯巡りに差し支えるので、なかなか実現しませんでした。至近距離にある地獄温泉には、早朝や夕方にほぼ毎年入浴していたので、その訪問頻度の違いが一層際立っていました。

今年の正月明けに、日帰り入浴可能時間の全てをここで過ごすつもりで、本当に久しぶりに立ち寄ってみたのですが、あまりの湯の良さに衝撃を受けました。夏は加水するようですが、冬は加水が少ないのか、薄く濁って湯の個性を感じる浴槽が多く、泉質にこだわるなら寒い時期がお勧めであろうと思いました。特に、男性露天の硫黄泉は本当に名湯と思い、とても泊まりたくなり、今年の10月に再度宿泊で行きました。

10月はまだ寒くない為か、正月と比較して透明な湯の浴槽が増えた印象でした。そうした中で、今回素晴らしかったのが、滝の湯です。昔は日帰りでも入れた記憶ですが、今では宿泊者専用とのことで、今回はこの湯の確認が目当てでしたが、期待を遥かに超越していました。土類系の濁り湯ですが、深みのある香りがあり、とても引き付けられるお湯でした。湯口付近に行くと、その原因が判明しました。湯口では、猛烈に強い硫黄臭を放っていたのです。至近距離にある地獄温泉と、地下では繋がっているのではと思ってしまう程、強い硫黄臭を堪能しつつ、奇跡的な名湯と思わずにはいられませんでした。

<郡司> 滝を見ながら入る露天風呂も結構ですが、それ以外の宿の風情とあいまった浴槽も良いですね。湯は金気臭が記憶に残っています。
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