名古屋の個性派ライブハウス｢得三｣10周年(2ページ目)

オーナー・森田さんインタビュー
「得三は名古屋のライブハウスのスキマ産業」

－　得三と言えば、何と言ってもジャンル不問の個性的なライブ・ラインナップが特徴ですが、これはオープン当初からネラったことだったんですか？

自身もバンド、バレーボールズのVo.＆パーカッショニストとして得三のステージに立つオーナーの森田裕（ゆたか）さん

森田　「ウチは、名古屋のライブハウスの中のスキマ産業なんだよね。オープンした時には既にたくさんライブハウスがあったから、ヨソと違うことやらなきゃ生き残れない。そこで見回してみると、ヨソではどうもしっくり来ない、というバンドが実はいっぱいあって、そういう人たちに出てもらうようにしたんだ。大友良英、栗コーダーカルテットといったジャズの範疇に収まらないアーティスト、羅針盤やＲＯＶＯで活躍する山本精一・・・。

そうやって一度出てくれたミュージシャンが気に入ってくれて、他の人をまた紹介してくれたりして、結果としてこうなった、って感じかなぁ。ただ、ジャンルにこだわらない、というよりも、得三でできることは何だってやって可能性を広げていこう、という考えだった」

名古屋一のアンダーグラウンドタウン・今池の魅力

－　やるなら今池で、という思いは断固としてあったんですか？

壁に掲げられた、スタッフ・ｍａＲｃｏ画の10周年記念イラスト

森田　「オープンハウスやってた頃から、町の人に受け入れてもらってたからね。ライブハウスなんて、うるさいし、不良がいっぱい集まるし、普通は地域の鼻ツマミ者になるんだけど、今池は一度認めてくれたらすごく親切で温かいんだよね。今の場所だって、商店街の人たちが見つけてくれたようなもんだし。

今池が面白いのは、人がここで生活してること。表通りは新しいビルとかも増えたけど、一本裏通りに入ると昔からの店がいっぱいあって、しかも店の２階に住んどったりするからね(笑)」

－　ある意味、名古屋らしさが凝縮された町ですよね。得三も、そんな今池以外じゃ成り立たなかったんじゃないですか？

森田　「そうかなぁ？　栄でやってたら今ごろどえらい儲かっとったんじゃないか、とも思うんだけど(笑)」

－　『朝までやってる呑み屋である』というキャッチフレーズもオープン当初から？

ライブ開演前に腹ごしらえでき、終演後もそのまま飲んで行ける。スタッフが気さくで意外なほどアットホームなのも魅力

森田　「うん。居酒屋っていうのは強調したかった。他との差別化の意味もあるけど、ミュージシャンが演奏後に飲んでいって、お客さんやいろんな人との交流の中からまた何かが生まれて、という場を作りたいという思いもあったから。

実際、お客さんとアーティストが仲良くなったり、ツアーで名古屋へ来たアーティストが打ち上げ後の２次会でウチへ飲みに来て、“じゃあ、今度はここでライブを”っていうケースもあるしね」

名古屋のライブシーンの今
得三の10周年企画と未来

－　得三のオープン以降のこの10年で、名古屋にも面白いライブスペースが増えた気がします。

森田　「Ｋ．Ｄハポン（鶴舞）のラインナップとかすごく面白いよね。ロジウラのマタハリ（名古屋駅）もアーティストと直接交渉してそこだけのための小編成で呼んだりしてるし、Ｃａｆｅ　Ｄｕｆｉ（千種）みたいなカフェライブをやる店も増えた。ライブを飛び跳ねて観るんじゃなくて、座ってビールとツマミで食事しながら生演奏を聴く、という楽しみ方ができる場が増えたのはすごくいいことだと思うよ」

－　10周年記念企画として、これまで以上に魅力的なライブが数々予定されていますね。

森田　「今年９月から来年８月までの１年間、４ヶ月毎３期に分けて、月２～３本ずつ特別ライブをやっていく予定。得三ならではのオリジナルの企画、東京以外じゃなかなか観られない大所帯バンド、海外の大物アーティスト・・・。得三だからこそ、でも得三でも普段はできないようなライブを組んでいきたいと思ってる」

10周年記念Ｔシャツ2500円。上でも紹介したスタッフ画の絵を３分割し３種類発売

10周年記念あほ犬バッジセット300円。森田さん画のへたれキャラ、あほ犬の缶バッジは12ヶ月連続全12種類を制作・販売。使用“不可”のゲストパスステッカー付

全席に敷かれたクッションはスタッフから森田さんへの10周年記念プレゼント。全部柄が違うのが泣かせる

－　10年目以降、得三はどこへ向かって進んでいくのでしょう？

森田　「まだ全然考えてない。来年１月からの10周年企画の第２期をどうするかもまだ決まってないんだから(笑)。ただ、向こう10年のことも、この１年間のラインナップ次第。１年を通して見た時に、雑多で、秩序も一貫性もないラインナップになってたら、あと10年やってけるかもしれないな、と思ってるんだ」



レアな企画が目白押しのライブスケジュールは、ＨＰで随時発表されるのでチェックを。得三・森田さんがこよなく愛する町・今池には、他にもドラファン御用達の中華店「ピカイチ」や台湾ラーメンの元祖「味仙」など、濃～い人気店が数多くあります。名古屋一のアンダーグラウンドタウン・今池で、とびきりディープな名古屋の夜をお楽しみ下さい！

■得三（Ｔｏｋｕｚｏ）
・所在地：名古屋市千種区今池１-６-８ブルースタービル２階
・TEL：052・733・3709
・営業時間：18時～翌５時（ライブは通常19時～22時）
・定休日：なし
・アクセス：地下鉄今池駅より徒歩２分
・Yahoo地図情報


◇９月20（土）・21（日）は「いきいき今池お祭りウィーク2008」（通称「今池祭り」）が開催。屋台を中心とした大バザールが開かれる他、あちこちでパレード、バレエ、プロレス、ライブなどがくり広げられる実に今池らしいイベントです。詳細はこちら（金シャチ商店街）から


【その他の今池関連記事】
◇「ドラ党御用達・ピカイチで盛り上がろう！」
◇「台湾にはない台湾ラーメンは名古屋生まれ」


※名古屋サイトのガイド記事バックナンバーはこちらから