4会場中3か所が名古屋の中心部、3つの美術館が会場の都市型芸術祭

あいちトリエンナーレ

あいちトリエンナーレは2010年の第1回以来、3年に一度開催され、今回が4回目となる

「あいちトリエンナーレ2019」が開幕しました。名古屋市と豊田市の美術館、街中などを会場にして、2カ月半にわたるアートの祭典がくり広げられます(2019年8月1日~10月14日)。ここではその見どころ、そして要望の多い会場周辺で食べられる名古屋めしの情報を合わせて紹介します。

あいちトリエンナーレは、愛知県を舞台に3年に一度開かれる国内最大規模の国際芸術祭。4回目となる今回は、芸術監督をジャーナリストの津田大介氏が務めることでも話題を集めています。
津田大介監督が掲げたテーマは「情の時代」。『情』という文字には「感情・情報・なさけ」という3つの意味が含まれることから、これをキーワードとした作品が集められることになります。

主要会場は愛知芸術文化センター名古屋市美術館四間道・円頓寺(しけみち・えんどうじ)、豊田市美術館・豊田市駅周辺。4会場中3か所が名古屋の中心部という都市型の芸術祭で、なおかつ3つが美術館という巡りやすさも特徴です。
あいちトリエンナーレ

子どもたちが参加できるラーニングプログラムも充実。アート・プレイグラウンドの「あそぶ PLAY」では段ボールの公園を毎日つくり上げていく。定員入れ替え制で当日受付。他、「はなす TALK」「つくる CREATE」などのプログラムがある

 

分かりにくいようで分かりやすい。分かるには解説が必須

「あいちトリエンナーレ2019」は現代美術の芸術祭ですから、誰にでも分かりやすいというものでは正直ありません。特に今回は絵画や彫刻などのパッと見で美しさや迫力が伝わるような作品は少なく、予備知識がないまま観て回るだけでは何だかよく分からないまま終わってしまいそうです。しかし一方で、作品のテーマや作者の意図が分かると、作品に込められたメッセージがストレートに伝わってきます。分かりにくそうで、実は非常に分かりやすいラインナップとなっています。
あいちトリエンナーレ

会場や観光インフォメーションなどで無料配布しているタブロイド判の公式ガイドマップ。公式HPからもダウンロードでき、公式アプリもこちらから無料ダウンロードできる

そのため、鑑賞する際には作品の解説が不可欠です。今回は会場で貸し出す音声ガイドがなく、専用のアプリが頼りとなります。スマホでこのアプリを無料ダウンロードした上で、個々の作品を鑑賞することをお薦めします。

ぜひ見ておきたいアーティスト・作品をいくつか紹介します。
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

ピア・カミル 「緞帳」

ピア・カミル 「緞帳」
愛知県芸術文化センターに地下街からアプローチすると真っ先に出迎えてくれる巨大インスタレーション「緞帳」。メキシコの作家、ピア・カミルの作品で、バンドTシャツをつなぎ合わせたサウンドシステムになっています。鑑賞は無料。
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

ウーゴ・ロンディノーネ 「孤独のボキャブラリー」

ウーゴ・ロンディノーネ 「孤独のボキャブラリー」
ピエロたちの顔はすべて同じですが、ポーズによって異なる感情を感じ取ることができます。しかし、その受け止め方ははたして正しいのか?を考えるさせる作品です。
 
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

アンナ・ヴィット 「Sixty Minutes Smiling」

アンナ・ヴィット 映像作品「Sixty Minutes Smiling」
一見、静止画のようですが、実はモデルたちは60分間ずっとビジネススマイルをし続けています。右には個々の人物のアップの映像が映し出され、作られた笑顔の裏に隠されたものが垣間見える仕かけになっています。 
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

袁廣鳴(ユェン・グァンミン)「日常演習」

袁廣鳴(ユェン・グァンミン) 映像作品「日常演習」
台湾の街並をドローンで撮影した映像作品。一見、何の変哲もない街の風景ですが、よく見ると日本ではあり得ない景色であることに気がつくはずです。
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

パンクロック・スゥラップ 「進化の衰退」

パンクロック・スゥラップ 木版画「進化の衰退」
虫の世界の文明の発展と衰退を風刺的に描く大作。今回のトリエンナーレの中では貴重な分かりやすい作品のひとつです。
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

藤原葵 「Conflagration」

藤原葵 「Conflagration」
“爆発”を描き続ける藤原葵の新作「Conflagration」。ヴィヴィッドな色彩で爆発のエネルギーが迫ってくる大作です。

津田大介監督のカラーが色濃く出ているのが、メッセージ性の強い作品が多いこと。差別、表現の自由、反戦などに問題提起する作品が展示の多くを占めています。その象徴が表現の不自由展・その後でしたが、ご承知の通り激しい賛否が巻き起こり、わずか3日で公開中止に。暴力に訴える声に結果的に屈してしまったのは残念でならず、皮肉にもテーマである「表現の不自由」がいかに深刻な事態に陥っているかを知らしめることとなってしまいました。一方で展示中止に対する反対の声も上がっていて、今後の動向はなお予断を許しません。
 

ライブが楽しみな四間道・円頓寺、大型作品に注目の豊田市

四間道・円頓寺会場は、古い町並みの雰囲気や商店街の息づかいと合わせて楽しみたいエリアです。古いビルや商家を活かした展示方法がユニークで、そして連日、音楽のフリーライブが開かれるのが楽しみ(木曜~日曜の夜7~8時)。飲食店も多いエリアなので、美術館を回った後にここで食事や音楽を合わせて楽しむのもいいでしょう。
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

鷲尾友公「MISSING PIECE」

 鷲尾友公 「MISSING PIECE」
地元・愛知のアーティスト、鷲尾友公の巨大なアート「MISSING PIECE」が商店街の飲食店の壁に描かれています。このアートを背景にステージが組まれ、木曜~日曜の夜にはデイリーライブがくり広げられます。
あいちトリエンナーレのおすすめアーティストの作品

岩崎貴宏 「町蔵」

岩崎貴宏 「町蔵」
江戸時代からの豪商の住まいだった伊藤家住宅。岩崎貴宏の「町蔵」は戦災で焼け野原になった名古屋の街並を再現。天守閣が焼け落ちた名古屋城の姿は、現在の木造再建問題を示唆しているかのようです。

豊田市は名古屋から電車などで約1時間。豊田市駅周辺に街中展示がある他、豊田市美術館が主要な会場となります。ここではスケールの大きなインスタレーションが多いのが特徴。施設の建築・環境も魅力なので、トリエンナーレはこの魅力的なミュージアムに足を運ぶいいきっかけになるのではないでしょうか。
あいちトリエンナーレの会場

建築も美しく見ごたえがある豊田市美術館

 ミシュランで一つ星を獲得した名古屋のフレンチレストラン「壺中天」プロデュースのカフェレストラン「ル・ミュゼ(味遊是)」でランチをとるのもおすすめです。
あいちトリエンナーレの会場

高嶺格の作品

廃校になった学校のプールの床を切り出して巨大な壁にそびえたたせた高嶺格の作品「反歌:見上げたる 空を悲しもその色に 染まり果てにき 我ならぬまで」。

 
あいちトリエンナーレの会場

スタジオ・ドリフト「Shylight」

 スタジオ・ドリフトの「Shylight」は花の就眠運動をテクノロジーで再現。床に寝転がって見上げると癒し効果抜群です。
 

 1日、それとも2日? 「あいちトリエンナーレ2019」を楽しむおすすめルート

【おすすめルート】
□ 1Day 駆け足コース
1日で全会場を回る駆け足コース。名古屋市美術館に9時半の開館時間に合わせて入れば何とか回れそう。豊田市美術館は駅から徒歩20分はかかるので会場間シャトルかタクシーを利用のこと。四間道・円頓寺界隈は津田監督もお薦めの夕方からの雰囲気を楽しみましょう。
 
名古屋駅
 ↓ 地下鉄東山線で伏見駅まで(2分)、伏見駅から徒歩3分
名古屋市美術館 1時間半
 ↓ 地下鉄鶴舞線・名鉄豊田線で豊田市駅まで1時間
豊田市駅周辺
 ↓ シャトルで10分
豊田市美術館 1時間
 ↓ シャトル、名鉄豊田線・地下鉄鶴舞線・地下鉄東山線で1時間30分
愛知芸術文化センター 2時間
 ↓ 地下鉄桜通線で久屋大通駅から丸の内駅まで4分、丸の内駅から徒歩3分
四間道・円頓寺
 
□  2Days たっぷりコース
名古屋市内と豊田市を2日間に分けてじっくり回る推奨コース。最も見ごたえのある愛知芸術文化センターでたっぷり時間を取って、名古屋市美術館を2日目に回すのもいいでしょう。
 
名古屋駅
↓ 地下鉄東山線で伏見駅まで(2分)、伏見駅から徒歩3分
名古屋市美術館 1時間半
 ↓ 地下鉄東山線で栄駅まで(2分)
愛知芸術文化センター 2時間半
 ↓地下鉄桜通線で久屋大通駅から丸の内駅まで4分、丸の内駅から徒歩3分
四間道・円頓寺
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2日目は朝から豊田市美術館へ
 

 喫茶店のモーニングに居酒屋まで おすすめ名古屋めし

【会場周辺のおすすめ 名古屋めしの店】
□     愛知芸術文化センター
〇 加藤珈琲店/小倉トースト、モーニング
〇 珈琲エーデルワイス/モーニング
〇 スパゲティハウスヨコイ錦店/あんかけスパゲティ
〇 カモシヤ/味噌おでん ※夜のみ
〇 串かつラブリー/味噌串カツ、味噌おでん ※夜のみ
トリエンナーレ

左上段/加藤珈琲店の小倉トーストはモーニングでも食べられる 右上段/スパゲティハウスヨコイのあんかけスパゲティは写真のミラカンが基本中の基本 左下/カモシヤの味噌おでんはワインにも合う 右下/串かつラブリーの味噌串カツ


□ 名古屋市美術館
〇 広小路キッチンマツヤ/味噌カツ、鉄板スパゲティ
〇 男前パスタ/あんかけスパゲティ
〇 島正/味噌おでん、味噌串カツ ※夜のみ
〇 世界の山ちゃん伏見店/手羽先 ※夜のみ
トリエンナーレ

左上段/広小路キッチンマツヤの味噌カツ 右上/島正の味噌おでん。10日もかけて味噌をしみ込ませる大根は絶品 左下/男前パスタはあんかけスパゲティにライスやハンバーグをつけたプレートが人気 右下/世界の山ちゃんの手羽先はピリッとスパイシーでビールとの相性抜群


□ 四間道・円頓寺
〇 喫茶ニューポピー/モーニング、小倉トースト
〇 喫茶まつば/モーニング、小倉トースト
〇 マミーズコーヒー/モーニング、小倉トースト
〇 アランチャ/鉄板スパ
〇 はね海老/味噌カツ
〇 フルット/あんかけスパゲティ
〇 串カツ・どて煮 然/味噌おでん、味噌串カツ
〇 どてやき 五條/味噌おでん、味噌串カツ、どて ※夜のみ
〇 SAKE BAR 圓谷(まるたに)/味噌串カツ、手羽先、どて ※夜のみ
トリエンナーレ

左上/喫茶まつばの元祖小倉トースト 右上/喫茶ニューポピーの名物、鉄板小倉トースト 左下/アランチャの鉄板スパ。味噌串カツなどのトッピングもできる 右下/どて焼き五條の味噌おでん


□ 豊田市駅周辺
〇 名古屋丸八食堂(t-FACE内)/味噌カツ、手羽先、ひつまぶし、名古屋コーチンなど
〇 とんかつマ・メゾン豊田店(t-FACE内)/味噌カツ
〇 立呑 田んぼ道/味噌串カツ、どて ※夜のみ
 
街そのものがアートの空気に包まれる芸術祭だけに、食事も含めて名古屋の街を楽しんでいただきたいもの。うまく時間をやりくりして、心もおなかも満たしてください。

あいちトリエンナーレは、この他にも音楽プログラム(サカナクションなど)、演劇を中心に10以上のプログラムが組まれているパフォーミングアーツ、9月中旬から14作品が数回ずつ上映される映像プログラムなど、パフォーマンスの作品・企画も豊富に組まれています。これらの日にちが決まっているイベントを優先して予定を立てるのもいいでしょう。

≫≫アーティスト情報やチケット情報など、詳細な情報は「あいちトリエンナーレ2019」の公式サイトを確認してください。
あいちトリエンナーレ2019 公式HP

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