世界遺産「アントニオ・ガウディの作品群」に登録されているガウディの代表作、サグラダファミリア(聖家族教会)。1882年の着工ながらいまだ未完成で建築が続けられている。 |
ハイライト3:自由を求めたモデルニスモの都バルセロナ
こちらはモンタネールの代表作、サン・パウ病院。イスラム・キリスト両建築が融合したムデハル式で、世界遺産ながら現在も病院として使われている。 |
ふたりの作品はモデルニスモの影響を強く受け、同時に長らくイベリア半島を支配していたイスラム建築の影響も受けている。イタリアで見てきた建築様式が直線や四角形、円形、対照など、幾何学的安定感を求めたのに対し、モデルニスモは自由を求め、動植物や自然現象に見られる曲線や装飾をふんだんに取り入れている点が特徴だ。
ガウディの代表作はサグラダファミリア、グエル公園、カサ・ミラなど。モンタネールの代表作はカタルーニャ音楽堂、サン・パウ病院などになる。
■関係する世界遺産
・アントニオ・ガウディの作品群
・バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院
ハイライト4:イスラム建築の最高傑作 グラナダ、コルドバ
世界遺産「コルドバ歴史地区」に含まれているメスキータの円柱の森。メスキータはスペイン語でモスクを意味する。 |
その前に歴史をおさらいしよう。スペインとポルトガルがあるイベリア半島は、711年のウマイヤ朝からイスラム教国となった。キリスト教勢力は国土回復運動レコンキスタによって徐々に勢力を盛り返し、1492年のグラナダ陥落によって半島を再征服する。といってもイスラム文化の影響はいまだ消えておらず、先のガウディやモンタネールにさえ影響を与えている。
スペインにあるイスラム建築の最高傑作がコルドバのメスキータとグラナダのアルハンブラ宮殿だ。メスキータは、コルドバを征服したカルロス1世がキリスト教会に改修しようと改修許可を与えたが、ハネムーンでここを訪れるとその美しさに目を奪われて、改修を禁止したという伝説が残っている。一方、この世でもっとも美しいイスラム建築と言われるのがアルハンブラ宮殿だ。アルハンブラは城下町で、内部に王宮や庭園、モスクはもちろん、軍や官庁、学校、住居などもあって城塞都市になっている。グラナダのアルバイシン地区ではアラブ人の住宅街を見ることもできる。
イスラム建築の特徴は、水。庭園は、水に憧れた砂漠の民たちが、千変万化する不思議な水の形や色、動き、音を最大限に演出したもの。また、水と石灰岩がおりなす鍾乳石をかたどった精緻なムカルナス、豊かなオアシスの森を思わせる柱の間、自然界の背後にある数学的秩序を駆使した幾何学文様アラベスク……キリスト教的美観とまったく異なる世界が広がっている。
■関係する世界遺産
・コルドバ歴史地区
・グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区
ルート近郊の世界遺産
フィレンツェにあるロマネスクの傑作サン・ミニアート・アル・モンテ教会。 |
地図を見ながらルートを探すのもまた楽しいもの。今回のルートをベースに自分なりのルートを見つけてみてほしい。
憧れの船旅 ボイジャー・オブ・ザ・シーズ Voyager of the Seas
イタリア・スペインを巡る旅でオススメしたいのが、ロイヤル・カリビアン・クルーズが運航するクルーズ客船ボイジャー・オブ・ザ・シーズの旅だ。ボイジャー・オブ・ザ・シーズはタイタニック号の4倍、クイーンエリザベス2世号の2倍の規模を誇る船で、中にはバーやレストラン、カジノ、プール等はもちろん、スケートリンクやミニ・ゴルフコースまであるという充実ぶり。
バルセロナを起点にローマ、ナポリなどを巡るショートクルーズを運航しており、船からローマにアプローチすることができる。少々値は張るが、一生に一度は体験したい旅だ。