世界遺産/インドの世界遺産

ブッダガヤ/インド(4ページ目)

『西遊記』の三蔵法師も目指した仏教四大聖地のひとつ、ブッダガヤ。紀元前6世紀前後、釈迦はこの地の菩提樹の下で、ついに悟りを開いてブッダとなる。今回はインドの世界遺産「ブッダガヤの大菩提寺」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

大菩提寺:マハーボディとその見所

マハーボディの本尊、釈迦如来像

マハーボディの本尊、釈迦如来像。チベット式の袈裟を着て、魔を退散させる降魔印を組んでいる

マハーボディの第一の見所は、もちろん菩提樹と金剛座だ。といっても現在は柵に囲われていて、直接触れることはできない。

マハーボディの内部には本尊として金色に輝く釈迦如来像が祀られている。この像は悪魔を退散させる降魔印を結んでおり、黄色い袈裟をまとっているが、これはチベット仏教の影響によるようだ。

マハーボディの横には蓮華のレリーフを描いた教行石が19個、並んでいる。悟りを得て3週目、ブッダはこれを人々に伝えるかどうか悩んで歩き回ったが、その足跡に蓮の花が咲いたという伝説を形にしたものだ。

マハーボディの南にはムチャリンダ池があり、蛇に守られた仏像が置かれている。この蛇は竜王といわれるナーガで、もともとインド神話の神様だったものが仏教に取り入れられたようだ。伝説では、悟りを開いた6週目に嵐がこの地を襲ったが、このナーガが現れてブッダを守ったという。

ブッダは悟りを開いた後、菩提樹の近くで7週間をすごしたといわれるが、マハーボディにはこのように、その間に瞑想したり立っていた数々の場所が残されている。

マハーボディの外にも見所は多い。対岸にあるスジャータゆかりのセーナー村やプラーグボディ山にも仏教施設が残されており、ブッダが身を清めたナイランジャナー川にも多くの僧や観光客が訪れている。

仏教四大聖地と世界遺産

マハーボディと菩提樹

右がマハーボディ、中央が菩提樹で、柵の向こうに金剛座がある。ヒンドゥー教ではブッダをビシュヌの化身として取り込んでおり、ヒンドゥー寺院として使われていた時代も長かった ©牧哲雄

仏教には四大聖地と呼ばれる場所がある。いずれも世界遺産が関係しているので簡単に紹介しよう。

まずはブッダが生まれた場所ルンビニで、こちらは「仏陀の生誕地ルンビニ」として世界遺産になっている。ここにはブッダが生まれた際につかったという池やアショーカ王の石柱がある。四大聖地のうち、ここだけがネパールだ。

続いてブッダが悟りを開いた場所、ブッダガヤ。

そして、悟りを開いたブッダがはじめて説法した場所が、初転法輪の地、サールナートだ。ダーメーク・ストゥーパと呼ばれる巨大な塔のほか、獅子が彫られたアショーカ王の石柱など、世界史の教科書にも載っているような数々の遺跡が出土している。

そしてブッダが亡くなった場所、クシナガルだ。東南アジアやインドには寝ている仏像=寝釈迦をよく見かけるが、体調を崩して横になっているブッダの入滅直前の姿だといわれる。

ルンビニとブッダガヤが世界遺産で、サールナートとクシナガルはインドの世界遺産暫定リストに「古代仏教史跡、サールナート、ベナレス、ウッタル・プラデッシュ:Ancient Buddhist Site, Sarnath, Varanasi, Uttar Pradesh」として記載されており、世界遺産登録を待っている。
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