歴史地区ってなんだ?

ウィーン
オーストリアの世界遺産「ウィーン歴史地区」。リンクには現在路面電車が走っている。
世界遺産リストの中でももっとも頻繁に登場するのが「歴史地区」という言葉で、日本ユネスコ協会のリストでは、なんと60件以上の世界遺産にこの名前がついている。

文化遺産の中には、たとえば大聖堂や寺院などの建物が単独、あるいは複数同時に登録されるものがある。複数だろうが「この建物は世界遺産」と厳密に指定されるわけだ。一方、一つひとつの建物ではなく、地域一帯が登録されることもある。後者の代表例が「歴史地区」だ。

たとえばオーストリアのウィーンの場合、もともと城壁があった場所がリンクと呼ばれる環状道路になっており、おおまかにリンクの内側が「ウィーン歴史地区」のコア・ゾーンとして世界遺産に登録されている。その中の代表的な建物もリスト・アップされており、ベルヴェデーレ宮殿、ホーフブルク宮殿、シュテファン寺院、カールス教会などが表記されている。

じゃあ歴史地区内にあるブティックや公衆トイレは世界遺産なのか?といわれると微妙だが、全体の景観として守られるという意味では世界遺産だろうし、厳密に公衆トイレ自体が世界遺産かといわれたら、それは違うだろう(ブティックがデザインを変えてオープンすることもある)。厳密な議論は難しいが、たとえば京都の龍安寺石庭の石一つひとつが世界遺産かといったら世界遺産とはいえないが、全体としては世界遺産として保護されるべきであるというのと、概念的には同じような話だろう。

このように、「歴史地区」とは古くからの建物が密集している地区一帯を登録した世界遺産をいう。英語の世界遺産リストでは「Historic Centre」や「Historic Centres」で表されるのがそれだ。