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4.温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産
泥とレンガで造られたチャンチャン遺跡は、雨の降らない礫砂漠でこそ成立した建築様式。©牧哲雄 |
年間の降水量がわずか20~100mmだったペルーの海岸沿いは、エルニーニョ現象が起こった1997~1998年にかけて年3,000mmを記録。これによってチャンチャン遺跡地帯や古代遺跡チャビンは洪水の被害を受け、その壁は溶け出してしまった。雨だけでなく、地下水位の上昇や塩の進入によって被害は拡大し続けている。チャビンに至っては、ワスカラン国立公園の氷河の溶解による洪水の被害まで重なってしまった。
アルタイのゴールデン・マウンテンの草原には、永久凍土の中にクルガンと呼ばれる石を組み上げて造った墳墓がある。しかし、ここ100年で1~2度の気温上昇により永久凍土が溶け出し、クルガンの腐敗・崩壊が進んでいる。
カナダの暫定遺産であるイヴァヴィック/ヴァンタット/ハーシェル島は、ツンドラ、湿地、海から高山まで多様な自然を見せるが、海氷の減少が環境の変化をもたらし、洪水の発生や凍土の氷解、地滑りが自然の破壊や文化遺産の流出を招いている。
■温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産4件
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