新しい世界遺産、レッド・フォート(デリー城、ラール・キラー)。©牧哲雄 |
今回は第31回世界遺産委員会の主な決定事項をダイジェストで紹介する。新しい22件の世界遺産(文化遺産16、自然遺産5、複合遺産1)もすべて掲載!
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石見銀山遺跡とその文化的景観、逆転で世界遺産へ
「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部をなす、島根県大田市の鉱山町・大森の街並み。©牧哲雄 |
理由は、東西文明交流の十分な証拠がないこと、銀の生産の運営について研究が不十分であること、銀山が文化的景観にどのような影響を与えたのか調査が不十分であること、そしてアジアの他の鉱山との比較が不十分であること。
ICOMOSの評価には4段階あり、「記載」「情報照会」「記載延期」「不記載」で、「記載延期」は下から2番目。世界遺産登録はかなり厳しいと見られていた。
しかし、第31回世界遺産委員会で日本政府は大量の反論書などによって巻き返しを図り、結果大きな反対もなく世界遺産登録が決定した。これで日本は推薦した世界遺産を14件連続、1度の延期や不記載もなく登録を成功させた。
アラビアオリックスの保護区が世界初の登録抹消!!
1972年にはじまる世界遺産35年の歴史の中で、はじめて世界遺産リストからの抹消という事件が起きた。対象の「元」世界遺産はオマーンの「アラビアオリックスの保護区」。オマーン政府は世界遺産のガイドラインを無視し、開発のために保護区を90%縮小。もともと絶滅の恐れがあったアラビアンオリックスの数はさらに激減してしまった。
世界遺産条約の義務を怠ったことから登録の抹消が決定。アラビアオリックスの保護区は世界遺産リストから外された。
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