4位 マチュピチュの歴史保護区(ペルー):
『モーターサイクル・ダイアリーズ』
マチュピチュ。映画でもやっぱりこの景色が登場した。 |
チリでバイクのポデローサ号を失ってからマチュピチュへ至るまでの道中で、エルネストはしばしば徒歩での旅を余儀なくされる。アタカマ砂漠で出会った夫婦をはじめ、多くの出会いを通してエルネストは世界に違和感を感じる。クスコで子供に案内されて市内を観光するのだが、インカ帝国に築かれたカミソリの歯も通さぬと言われる壁が「インカ壁」、その後スペインによって築かれた軟弱な壁が「インチキ壁」と対比されている。そしてマチュピチュ。アルベルトはここで、将来ネイティブ・アメリカンの娘と結婚してインディオ党を結成し、トゥパク・アマル革命を再現するというが、エルネストは「銃なしで? 成功するはずがない」と答える。
マチュピチュは滅ぼされたインカ帝国の象徴、リマは滅ぼしたスペインの象徴、そしてクスコは両者が触れ合った場所として描かれている。そしてこの3つとも「クスコ市街」「マチュピチュの歴史保護区」「リマ歴史地区」として世界遺産に登録されている。ちなみにチリの世界遺産「バルパライソの海港都市の歴史的街並み」も登場するのでお見逃しなく。
ウォルター・サレス監督の『モーターサイクル・ダイアリーズ』。コレクターズ・エディションもあるが、こちらは通常版。 |
登録名称:マチュピチュの歴史保護区
国名:ペルー共和国
登録年と登録基準:1983、文化遺産(ii)(iii)、自然遺産(vii)(ix)
【映画基本データ】
映画:『モーターサイクル・ダイアリーズ』
監督:ウォルター・サレス
製作:ロバート・レッドフォード
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
【関連記事】
3位 ドブロヴニク旧市街(クロアチア):
『紅の豚』
アドリア海の真珠と謳われるドブロヴニク。山の上からアドリア海を見下ろしながら。 |
でもごめん。宮崎駿監督はモデルがドブロヴニクだなんて言ってない。たぶん。ただ、舞台はアドリア海。イタリア空軍に追われたり、「イタリアよりもガソリンが高い」なんてセリフがあることから、ポルコやジーナがいる場所はイタリアではないと思われる。1930年前後にイタリア以外でアドリア海に面した国と言えばユーゴスラビア、アルバニア、ギリシア。でもアドリア海を象徴する国と言えばユーゴスラビア、1991年独立後はクロアチアだろう。それに、映画ではしばしば入り江や島々が点在する美しい海岸線が描かれている。あれはおそらくクロアチアのダルマチア地方特有の景色で、ダルマチア式と呼ばれる海岸だ。
で、ドブロヴニク。旧市街は「アドリア海の真珠」と謳われ、アドリア海の典型的な、そしてもっとも美しい街並みとして知られている。オレンジの屋根、深く青い海、遠くに見える島、城壁……映画に登場するアドリア海の典型的な姿がそこにある。特にオススメなのがドブロヴニクとスプリットを結ぶフェリーで、ダルマチア式の入り江や島々を縫って船は進む。また、クロアチアの見所はここだけではなくて、ダルマチアからバルカン半島の付け根にあたるクヴァルネルの海岸まで、無数の小島が浮かぶ美しい海岸線が続いている。ここにはスプリット、シベニク、トロギールなどの世界遺産が集中しているほか、ジーナの店のように、島にポツンと家一軒建っているなんて景色も見ることができる。
宮崎駿監督『紅の豚』。アドリア海のすばらしい景色もキッチリ描き込まれている。 |
登録名称:ドブロヴニク旧市街
国名:クロアチア共和国
登録年と登録基準:1979,1994拡大、文化遺産(i)(iii)(iv)
【映画基本データ】
映画:『紅の豚』
原作・監督:宮崎駿
声の出演:森山周一郎、加藤登紀子、大塚明夫、桂三枝、上條恒彦
音楽・主題歌:久石譲・加藤登紀子
【関連記事】
次のページはいよいよ第2位と第1位の発表!