2001年9月11日、アルカイダにより強行された米国同時多発テロ。4機の旅客機がハイジャックされ、1機、また1機と目的が果たされる中、唯一テロリストの要求を拒み、戦い続けたのがユナイテッド航空93便でした。
この旅客機に乗り合せた犠牲者の、最後の瞬間を再現した追悼作品『ユナイテッド93』が、公開を目前にして米国で大変な物議を醸しています。米時間2006年4月28日の公開に先駆け、全米では各映画館で『ユナイテッド93』の予告編が上映されているのですが、観客からの苦情が激しく、一部の劇場では上映を中止する騒ぎにまで発展しています。
公開を支援する遺族の声
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演技指導をする撮影現場のポール・グリーングラス監督(中央)。 |
『ユナイテッド93』の公開に反対する意見の多くは、Why now?(何故今なのか?)、It's not the right time.(時期を見合わせるべき)というもの。5年前の惨劇はまだ人々の記憶に新しく、癒えかけた傷を刺激するような作品は歓迎できないと感じているのです。これを受けて、本作を配給する米ユニバーサル・ピクチャーズは声明を発表。『ユナイテッド93』が遺族の取材を通じて得られた事実を、忠実に再現した作品であることを主張し、それにより遺族から感謝の声が寄せられていると述べました。
製作初期、拒否されるのも覚悟の上で取材を申し込んだポール・グリーングラス監督は、満場一致で協力を約束してくれた遺族の思いに驚かされたといいます。犠牲者の尊い行いを伝え残したい――そんな思いが生んだのがこの作品ならば、辛い描写があったとしても、可能な限り事実を受け止めて鑑賞したいですね。
『ユナイテッド93』 日本公式サイト『UNITED 93』 米国オフィシャルサイト次ページでは、機内で録音された乗客・乗務員とテロリストの会話を翻訳して公開しています。暴力的な描写を含みますので、みなさまの判断でお読みください。
ユナイテッド航空93便 機内会話テープ翻訳文