10月の声を聞き、もの思いの秋、シャンソンが似合う季節となりました。先日映画も公開されこの秋はEdith Piaf一色の予感です。今回は今までとはちょっと違う視点から、愛すべき歌姫Piafの魅力を探ってみましょう。
パンクな彼女に一目惚れ
『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』9月29日(土)より有楽座ほか全国拡大ロードショー |
Piafのイメージというと、「電話帳を読みあげるだけで人を泣かせる」と評されるあの独特の歌声を思い浮かべるのが常でしょうが、この映画のメガホンをとるきっかけとして監督Olivier Dahan(オリヴィエ ダアン)がLibération紙に語ったのは以下のような内容。
黒いドレスのPiaf像を彷彿とさせる映画のワンシーン (C) 2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED |
Je ne suis pas venu à ce film par la musique mais par une photo.On est dans les années 30, elle doit avoir 15 ans, elle vit pratiquement dans la rue. Elle pose avec sa copine Momone. Comme une punk. Cette photo me paraissait si éloignée de l'icône Piaf avec sa robe noire à l'Olympia.
(この映画を撮るに至ったのは音楽ではなく、一枚の写真がきっかけです。30年代で、ピアフは15歳くらい、実際に通りで暮らしをたてていたころのものです。仲良しのモモーヌといっしょにポーズをとっていて、まるで「パンク娘」のよう。この写真とオランピア劇場で黒いドレスに身をつつんでいるピアフの偶像とは非常にかけ離れたものだと感じました。)
まさに、「パンクなあの娘に一目惚れ」といった感じですが、実際のところ彼が眼にしたと考えられる写真のPiafを見ると、映画『TAXI』シリーズで活躍するcomédienne(コメディエンヌ/女優)のMarion Cotillard(マリオン コティヤール)に白羽の矢が立った理由もなんとなくわかります。
化粧5時間に泣いたコメディエンヌ
細いアーチ状の眉がトレードマークのPiaf |
身長150cmにも満たないカリスマMôme(モム)と、どちらかといえばグラマラスな体型のMarion。いったいどうやって演じるのだろう?という心配もよそに、彼女とピアフとの激似ぶりに驚かれた方も多いのでは。
Marion演じるPiaf (C) 2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED |
J'arrivais à 5 heures du matin sur le tournage car il fallait parfois cinq heures de maquillage.
(撮影場所には朝5時にはついていました。時には、お化粧に5時間かかることもありましたから。)
とは、Marion自身の言。 メイクアップアーティストDidier Lavergneの手によりveines(ヴェーヌ/血管)や rides(リッド/しわ)、さらにはprothèse dentaire(プロテーズ ダンテール/義歯)まで取り付けられていたということですから、さぞかし大変だったことでしょう。
それでは映画の裏話はさておき、次ページでは、シャンソンファンのみならずパンク好きにだって愛されるPiafの魅力を探ってみることとしましょう。