紛争地と深刻さの度合いは同じ、日本の現状
ガイド:野中さんはアメリカ、ボスニアやコソボ自治州、紛争地でメンタルサポートに携わったとお聞きしました。紛争地でのメンタルサポートは厳しい環境にあったのではないでしょうか。野中さん:紛争地では環境は確かに厳しく、メンタルサポートにおいても生死に関わる問題が多くありました。日本でも今、自殺者の多い現状を見ると深刻さの度合いは紛争地と変わらないかもしれません。
ガイド:自殺者の増加は企業にとって対策が急務か。企業としてメンタルヘルスカウンセラーによるケアをしていくことは使命ともいえそうですが、野中さんの実感としてはいかがでしょうか?
野中さん:まだ、中小企業ではメンタルヘルスカウンセリングの重要性が浸透していないと感じています。すぐに効果が見えやすいものではありませんが、長期的な人事戦略の一環として取り組んで欲しいと思います。
モティベーションをあげるメンタルカウンセリングも
ガイド:企業におけるメンタルヘルスカウンセリングというのは具体的にどのようなことをされるのでしょうか?
野中さん:企業様がご希望なさる場合は、社員の方1人1人に所属している部署やポジション、適性についてアセスメントヒアリングを行います。経営者、幹部も同様です。ヒアリングを通し、精神疾患のケアの必要な人にはその対応を、精神的には問題はないけれどモティベーションが低下気味の方々にはその方々の強みを見つけサポートしていくことで、企業の活性化をはかります。
ガイド:メンタルヘルスカウンセリングは、不安などの悩みを抱える方々のためのケアと思っていましたが、モティベーションアップなど通常の状態の人をより元気にする効果もあるのですね。
メンタルヘルスカウンセラーに向くのは?
ガイド:日本でもメンタルヘルスカウンセラーという専門家の方も増えたように感じます。日本でメンタルヘルスカウンセラーになるにはどのような方法がありますか?
野中さん:日本では、臨床心理士、産業カウンセラー、精神保健福祉士といった資格があります。医師や教師と違ってなかなか立場が確立されていないのが現状のようです。
ガイド:メンタルヘルスカウンセラーの活躍の場としてはどのようなところがありますか?
野中さん:今は主に病院や学校が大半です。企業にも徐々に広がりつつあります。
メンタルヘルスカウンセラーに向くのは?
ガイド:メンタルヘルスカウンセラーに向く人は、どんな人でしょうか?
野中さん:メンタルヘルスカウンセラーには守秘義務があります。相談される方の全てを受け止め、それをはきだすところはスーパービジョンの席以外はありません。一緒に共感することは大事ですが、それで終わってしまっては意味がありません。クライアントの未来に向けてサポートしていくことが大切です。
黒子に徹する強さがないと長続きしない仕事だと思います。
ガイド:ありがとうございました。今の日本では、ひと言でメンタルヘルスカウンセラーといっても、その背景は様々。お悩み相談室や占いといった分野とも混同されることも多いそうです。メンタルヘルスカウンセラーは心のケアを行う人。通常の心の健康管理のため、そして心が病気になったら治してくれる専門家です。慎重に相談する専門家を見つけることが大切だと実感しました。
まずは自分自身でもメンタルヘルスの基礎知識を身につけるために、メンタルヘルス・マネジメント検定試験を考えてみてはいかがでしょうか?