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食と健康コンサルタント(3ページ目)

食と健康コンサルタントの南さんは、フードコーディネーター2級、健康管理士一般指導員を取得し、また、All About「食と健康」ガイドとして幅広く活躍中です。

執筆者:All About 編集部

食と健康コーディネーター
思い出深い仕事は、書籍を監修、レシピを提供したこと。

資格は取得した後のブラッシュアップが大事

ガイド:
「食」の仕事の中でも、強みはありますか?
南さん:
「健康・環境と配慮した食生活の探究」
それから、あえていうなら、特に専門的でないこと。

というのは、例えば栄養士は栄養士の世界、医師は医師の世界で、縦割ですよね。マクロビオティック、薬膳、ベジタリアンも、縦割りです。健康になるためのアプローチはいろいろあるし、それぞれにとても素晴らしい健康法で、学ぶことはとても多いのですが、中には特別な調理法や素材を使う物があります。

まだそこまで実践できない人がたくさんいます。せめてこんなことからやってみましょうと、私なりにまとめたのが「素食」。私は、ご馳走大好きな夫や、育ち盛りの子どもを抱える普通の主婦。毎日仕事している一般的なおかあさんが、一般的なスーパーでお買い物する中で、おいしくて健康で環境にできるだけ負荷を与えない生活はどうしたらいいのか。それを探究していきたいと思っています。

ガイド:
確かに、日々の小さな実践で健康的な食生活を続けることができることは、女性にとって理想的です。さまざまなお仕事の中で、印象深い仕事を教えてください。ハプニングなどもありましたか?
南さん:
自分のサイトの中で、伝統的に伝えられてきた手当法を紹介していたところ、出版社の方が目をとめてくださり、「じぶんでつくるクスリ箱―おばあちゃんの知恵、暮らしに活かそう」という本の監修・レシピ提供という形で出すことができました。

今の時代というか、私たち高度経済成長期に育った世代は、物が豊かで便利な時代を享受し、親から伝統的な知恵や技を継承していない人が多いんです。これを今親世代の私たちが意識して、子どもたちに伝えないと、まったく途切れてしまう。ということで、形としてまとめておきたかったので、子どもにはよい遺産ができたと喜んでいます。

本を出すにあたって、今まで目分量で作っていたようなものをレシピとして計量し直してまとめ、キッチンに立ちっぱなしの日々か続いて腰が痛くなったのも、思い出です(笑)

ガイド:
ご家庭を持つ南さんにとって、「食」や「健康」といったテーマは、プライベートで当然役立つことばかり、と羨ましく思いますが、いかがでしょうか?
南さん:
もちろん、食事や健康管理は、毎日のことであり、生きる上で大切なことなので、役立つことばかりです。

ガイド:
プライベートで役立つ、とはいえ、仕事として成り立たせるためにはご家族の協力も不可欠かと思います。いかがでしょうか?
南さん:
夫は、結婚当初家にいてほしいと思っていました。私は、自分の好きなお稽古ごとを続ける程度に何か仕事ができたらいいなと、軽い気持ちでしたが、結婚や出産を通じて、食や生活そのものを見つめるようになり、仕事と生き方が重なってきました。

夫は、健康・環境には、私ほど意識がむいているわけではないのですが、理解もしてくれるようになりましたし、応援もしてくれています。締め切りが忙しくて日曜日も原稿を書いていると、ご飯を作ってくれるようにもなりました。娘も応援してくれています。

また私は、お姑さんや私の母が、仕事を応援してくれ、子どもを預かってくれたりしたので、その支援がなければ、仕事はここまで続けられなかったと思います。

細々とでも続けてきたことが、今の仕事につながったと思います。

ガイド:
女性にとっての仕事、資格についてはどのように活かすことができると考えますか?
南さん:
男女共生社会といいながら、まだ今の時代は男性より女性の方が、選択肢が多いと思うのです。正社員で働いたり、結婚したり、子ども産んでパート的に、またフリーランスで働いたり、いろいろなスタイルが選べます。ただ、どんな形態であれ、しっかり生活したほうがよいと思います。

家事や育児、料理の経験がないオジさんが、調理器具を作っても、あまり説得力はない機能がついていたりしますよね。生活感のない女性は、今までのオジさんと同じです。

暮らしをしっかり見つめて、資格や仕事に生かすことが、社会に役立つ仕事になると思います。

ガイド:
これから資格取得を目指す人にメッセージをいただけますか。
南さん:
資格取得は、一つのきっかけに過ぎないと思います。資格をとっても例えば学校が、師匠が仕事を紹介してくれる制度でもなければ、仕事はむこうからきません。資格をとった後の方が大切で、自分でそれをどう使うか、またどうやってブラッシュアップできるかが大切ですね。

ガイド:
南さんご自身の、これからの目標や夢はありますか?
南さん:
私は、栄養士や調理師など、専門家ではないというのが、ずっとコンプレックスでしたが、専門家ではなく、客観的な立場だから見えるものがあるはず、そういう専門家をコーディネートする立場を目指しなさい、とアドバイスしてくださった方がいます。「あー、なるほど」と思いました。そのためにも、もっといろいろと勉強したり、人やコトと出会ってリンクしあい、幅広い視点から、現代人が実践できる健康と環境に配慮した食生活は何かを模索して行きたいと思います。

また、今は健康に関する情報も溢れて、何をするのがいいのかわからない、いろいろなモノを買ったり振り回される人も多いと思います。私は、「素食」という指針をもっているから、振り回されずにいられます。情報に振り回されないために、「食と健康」のメディア・リテラシー(読み取り術)も、伝えていきたいですね。

ガイド:
ありがとうございました。

―私たちは何かと情報などに惑わされがちです。仕事のなかで、また日々の生活の中でしっかりとした「基準」を持っている南さんが輝く秘訣は、この確固たる「指針」や「基準」があるからでしょう。それは、「食」に携わる人だけでなく、全ての人に必要な考え方だと思います。

さらに、南さんは、16歳から茶道を続け、今年で29年目になるそうです。茶道の教えが、自然の恵に感謝し、人を思いやる心、モノを消費するのではなく心の豊かさを味わうもので、まさに環境問題に通じるそうです。

好きなだけで続けてきた茶道、とのことですが、全てをご自身の「基準」に照らし、考えて感じることが「好き」を仕事につなげるヒントになるのではないでしょうか。

「好き」を仕事につなげることは、一朝一夕ではできるものではありません。仕事と生活はもちろん、趣味でも…南さんが茶道を「今や仕事や生き方の礎としてかけがえのないもの」と感じているように、長く続けることで確立するものと、実感しました。
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