春の終わり、夏の始まりを告げる花。
それはアヤメや花菖蒲。
紫色の鮮やかな色彩は周囲の緑や、涼しげな水辺とよく似合います。
紫色の花には癒しや協調、慰めなどの効能があるのだとか。
5月末から6月にかけては、ゴールデンウィークと夏休みの谷間で、長期の休みが取りづらい時期。
手軽な日帰り旅で、疲れがちな心と体を癒しに出かけてみませんか。
ご紹介するのは千葉県香取市佐原。
水郷と小江戸の風情を感じる古い街並みに、懐かしさと温かさを感じさせる場所です。
小江戸情緒満点の佐原を歩く
千葉県の北部、利根川沿いの茨城県と隣接する佐原(さわら)は、江戸時代から利根川水運を利用した、商都として栄えてきました。水郷地帯から穫れる良質な米と水により、酒、味噌、しょうゆなどの醸造業も盛んでした。その街並みが、今も保存されています。街並みは文化庁が指定する文化遺産重要伝統的建造物群保存地区になっており、当時の面影を町のあちこちで見ることができます。
佐原の中心、小野川付近の風情ある景観。左奥が伊能忠敬旧居。 |
伊能忠敬旧居。見学無料 営業時間 9時~16時30分 定休日 無休。すぐ近くには伊能忠敬記念館もあり。忠敬の足跡をたどれます。 |
細い川沿いには江戸時代から昭和初期にかけての建物が建ち並び、荷揚げ場であった「だし」が残り、女船頭がこぐサッパ舟が浮かんで、かつての河港の面影を偲ばせます。
この佐原での有名人といえば、伊能忠敬。
彼は婿養子として、佐原の豪商・伊能家に入り、家業を盛り立てると共に、測量を学びました。そして、隠居後に日本全国を歩き、日本初の測量地図を作製するのです。
彼の屋敷が小野川沿いに今も残っていて、無料で内部を見学できます。隣には大きな蔵も残り、小江戸の面影が色濃い一角です。
古い街並みの中にある書店は蔵造りに龍の彫刻の看板。眺めていても飽きることがない |
一軒一軒、外観を眺め、店内を物色しと、なかなか先に進めませんが、それが佐原の楽しさ。寄り道しながら、古い街並みを堪能できます。
名物はうなぎと蕎麦。
なかでも小堀屋本店は明治期の雰囲気そのままに感じられる建物。日高昆布を使った「黒切」と呼ばれる真っ黒なお蕎麦が名物です。
<ポイント>
散策を始める前に、JR佐原駅前の観光案内所、または小野川付近の駐車場などで、散策マップをもらいましょう。お店情報も満載で、これひとつ持っているだけで、散策の楽しさが倍増します。
小堀屋本店はこの街並みの真ん中 |
商都・佐原を支えたのが周囲の水郷地帯。5月末からはアヤメの季節。生活水路を女船頭の漕ぐサッパ舟でめぐる小さな船旅は次ページへ!