公用語としては英語が一位だけど……国際ビジネスで使われる理由は?
国際時代にあって、事実上の共通語としての地位を固めつつあるかに見える「英語」。しかし、世界中で使われている言語の中で最も使用する人口が多いのは、実は「中国語」なのです。使用話者数が世界一でもないのに、「英語」が国際ビジネスの事実上の共通語と化しているのはいったいどうしてなのでしょうか?
英語はいつから世界共通語に? 最たる理由は『帝国主義』
英語が事実上の国際共通語と化している原因。おそらくそれは、英語の歴史的背景と、英語自体が持つ特徴とが関係していると考えられます。歴史的背景の一つとして、かつての欧米列強による帝国主義と植民地支配があると思われます。
あらゆる地域で、イギリス・アメリカの植民地として英語を共通語にされていたことを抜きに、英語が現在事実上の世界共通語となっている理由を説明することはできません。
「ユニオンジャックは沈まない。」と文字通り七つの海を支配下においた、イギリス・大英帝国の勢力分布と領土拡大に比例して、英語を使用する人口と地域が拡大していきました。現在でも英語が共通語として話されている地域の多くは、こうした植民地支配の影響で、英語を使えなければ生活すらできなかったという負の歴史を背負っています。
加えて、貿易の拡大が帝国主義に基づいていたため、貿易で使われる言語も英語が多かったのです。
大英帝国の繁栄に続いて世界をリードしてきたのは、イギリスの分家であるアメリカでした。ローマ帝国時代のラテン語が、世界での政治的・経済的プレゼンスの反映としてヨーロッパ世界の共通語であったのと同様に、アメリカの世界への影響力に比例する形で英語が使われるようになったのです。
ビジネス英語のレターの書き方もこの頃に、形成され、変化し、現在に至っています。イギリスを中心とする、英国植民地で使われた英語がビジネス英語の原型を形作っているといっても過言ではないのです。
この点に関しては、東京大学の斉藤兆史教授も、『イギリスは、その後、圧倒的な海軍力を駆使して世界に進出、各地に植民地を作って、一九世紀までに日の沈むことのない大帝国を築き上げた。じつは、英語を世界に広めた第一の推進力はイギリスの帝国主義であり、その具体的な表れとしての植民地支配だったのである。このことはしっかりと頭に入れておく必要がある。』と述べています。
英語は簡単だから広まった?
英語は言語的特徴として、格変化や性(男性・中性・女性)などの複雑な文法要素がないため、比較的簡単な言語といえます(言語学的にはこの容易さはナンセンスかもしれませんが)。さらに、インターネットという新しい革命的な情報ツールがアメリカという英語圏で発明された点も、無視できません。コンピューター言語は英語に近い言語でプログラミングされているからです。中国語が世界共通語でない理由
中国語は、話す人口は多いものの、帝国主義の時代には反植民地化されており、英国の三国貿易の餌食となっていた立場上、世界の貿易や商業主義の中心とはなり得ていませんでした。中国は今でこそ国際経済における存在感を高めつつありますが、イニシアティブを取るところまでは行っていないというのが実情です。さらに多国籍プロジェクトなどでは、複数の国の人が意思の疎通を図らねばならず、それにはやはり、英語が大きな役割を果たすことになるのでしょう。【関連記事】